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レーヴァティン

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第百三十六話 鹿児島攻めその二

「あらためてな」
「降るかどうですね」
「問いますね」
「そうしますね」
「これまで通りな、三割でも降ればな」
 それだけならばというのだ。
「いいか」
「ですね、それだけでも降れば」
「いい方ですね」
「そして降らない連中は、ですね」
「解き放ちますね」
「そうする、敵の数は減っている」
 このことは確かだからだというのだ。
「それならな」
「三割でもですね」
「降ればいいですね」
「それだけでも」
「まだな、流石に薩摩と大隅の者達以外は降ったが」
 そうなったがというのだ。
「しかしな」
「薩摩と大隅の者達は」
「まだですね」
「まだ降る者は少ないですね」
「この二国だけは」
「敵の本拠地だけにな」
 それだけあってというのだ。
「そうだな」
「全くですね」
「残念なことですが」
「そうなっていますね」
「だが何度でも解き放つ」
 降らないならというのだ。
「それは変えない」
「断じて」
「戦が終わるまで」
「終わった時も同じだ」
 その時になろうともというのだ。
「降るまでだ」
「そうされますね」
「そして心服させて」
「完全に従わせますか」
「幸いこの世界は死んでも復活させられる」
 術や道具でそれが出来るというのだ。
「だから余計にだ」
「そうしたことがしやすい」
「だからですね」
「ここはそうしていく」
「最後の最後まで」
「その様にな」
 こう言ってだった、そのうえで。
 英雄は倒した兵達は降らないのならそのまま解き放った、そして降った兵達は兵に加えていった。そうしてだった。
 薩摩半島を領土にしていった、そこで領民達はというと。
 従う者が多かった、町も村も次々と降る。英雄はその状況についてこう言った。
「民は武士程抵抗しないな」
「そうですね」
「民は武器を持ちませんし」
「主への忠義も薄いですし」
 武士と比べればだ。
「彼等の暮らしもありますし」
「しっかりとした政が行われるなら」
「それならですね」
「彼等も降りますね」
「そうなりますね」
「そうだな、確かにこれまでの地域に比べて従わない者は多いが」 
 それでもと言うのだった。
「しかしだ」
「それでもですね」
「民達はいい主ならですね」
「それでいい」
「自分達の暮らしがいいなら」
「それだ、やはりだ」
 まさにというのだ。 
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