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戦国異伝供書

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第七十話 独立その八

「遠江の西に兵を勧め」
「そしてですな」
「五十万の家となるのですな」
「そして織田家と手を結ぶ」
「そうしますか」
「この五十万石の力で織田家の東を守るという姿勢を見せれば」
 それでというのだ。
「織田家も無視出来ぬ」
「盟友として」
「確かに思って頂き」
「頼りにもしてもらえますな」
「うむ、だが吉法師殿の雄飛は凄いものなろう」
 元康は信長のこれからのことをさらに話した。
「尾張から伊勢や志摩、美濃となる」
「それでもう二百二十万石になりますな」
「その四国で」
「五万以上の兵を持ち」
「天下でも指折りの家になりますな」
「それにな」
 元康はさらに話した。
「そこからおそらく上洛される」
「そしてですか」
「都を手に入れられ」
「さらにですか」
「七百万石位にはな」
 そこまでというのだ。
「なられるぞ」
「そこまでになられると」
「恐ろしい限りですな」
「それも数年のうちにそうなられると」
「雄飛と言ってすら足りませぬな」
「それが吉法師殿じゃ、そしてその織田家とな」
 これからの自分達はというのだ。
「共に生きていくのじゃ」
「では」
「その様にですな」
「手を進めていきますな」
「これからは」
「その様にな」
 こう言って実際にだった。
 元康は吉良家から家系図を受けてそこからだった。
 己とその血筋の姓を徳川、本来のそれを源とし諱を八幡太郎義家から取って家康とした。そして三河の国人達に次々に使者を送ると。
 元々祖父の清康に従っていた者も多くまた三河一の石高を持ち今川家で重臣の一人として文武に名を馳せ人徳もあると評判の家康にだった。
 三河の国人達は次々に従った、そしてここで順序は家康の思惑より早かったが織田家と盟約を結ぶことも出来た。
 ここまで進めてだった、家康は遠江の西に兵を進めようとしたが。
 ここで武田家からの文が来た、彼はそれを読んでから家臣達に話した。
「遠江の西をじゃ」
「我等にですか」
「そしてご自身は東を」
「そう言われていますか」
「うむ、何とかそこを手に入れようと思っておったが」
 遠江に西をというのだ。
「これは願ってもない、ならな」
「ここで、ですな」
「遠江の西を手に入れ」
「そのうえで」
「その地も治め」
 そしてと言うのだった。
「五十万石の地盤をじゃ」
「固めますな」
「そうしますな」
「そうする、では遠江に兵を進める」
 こう言ってそちらの国人達にも使者を送ってだった、家康は遠江の西も手に入れた。こうして五十万石の家になってだった。
 居城を岡崎から浜松に移した、それで家臣達に話した。
「わしはこれよりはな」
「この浜松城を本城として」
「そしてですな」
「そのうえで、ですな」
「領地を治め」
「戦もしていきますな」
「うむ、織田家とは確かな盟約を結んだしな」
 このこともあってというのだ。 
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