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戦国異伝供書

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第七十話 独立その七

「三河を一つにしよう、そしてな」
「織田家と結ぶ」
「そうしますな」
「そうして西からの不安を取り除き」
「後ろ盾になってもらいますな」
「わしも吉法師殿は雄飛されると見ておる」
 雪斎と同じくというのだ。
「数年のうちに何百万石ものじゃ」
「大家となる」
「そうなられますか」
「あの方は」
「その織田家と結び」
 そうしてというのだ。
「我等は三河を制する」
「そうしますか」
「まずは」
「その様にされますか」
「そして武田家が遠江に入るが」
 この家のことも話した。
「せめてあの国の西位はな」
「手に入れておきますか」
「そうされますか」
「そして今では夢の様な話であるが」
 それでもとだ、元康は家臣達に話した。
「五十万石じゃ」
「そこまでの家になる」
「そうお考えですか」
「そうじゃ、三河の三十万石にな」
 それにというのだ。
「遠江からな」
「二十万石ですか」
「それだけの家になる」
「そうお考えですか」
「五十万石あれば」
 それだけの家になればというのだ。
「吉法師殿が天下人となられ数百万石になろうとも」
「我等を頼りにされる」
「そうだというのですな」
「十万石だと吹けば飛ぶ」
 今の自分達ならというのだ。
「それではな」
「ですな、数百万石と十万石では」
「吊り合いも何もありませぬ」
「それこそです」
「表向きは盟約でも」
「実質的にはとなりますな」
「やはり属するのはな」
 それはというのだ。
「わしとしてもな」
「望ましくありませんな」
「殿としても」
「だからですな」
「この度は」
「うむ、武田家とは境を接することになるしな」
 このこともあってというのだ。
「三河の三十万石だけではな」
「武田家は今で百二十万石です」
「甲斐と信濃を合わせて」
「上野にも兵を進めていますし」
「ここで駿河、遠江となると」
 こうした国々にも進出すればというのだ。
「おおよそ二百万石」
「三十万石では吹けば飛びます」
「ではですな」
「そうなりますと」
「そうじゃ、武田家と対するとなると」
 それこそというのだ。
「やはりな」
「遠江の西も手に入れ」
「せめて五十万石ですな」
「それだけ手に入れて」
「そうして」
「そうじゃ、すぐに三河を掌握し」
 この一国をというのだ。 
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