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戦国異伝供書

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第七十話 独立その六

「弟達にも名乗らせ一門にはな」
「これからもですか」
「松平の姓を許す」
「そうされますか」
「うむ、やはり松平の姓は特別じゃ」
 元康にとってというのだ。
「だからな」
「わかり申した、ではです」
「これからも松平の姓は大事にし」
「そうしてですな」
「これから姓を変える」
「そうされますか」
「そして諱もな」
 これもというのだ。
「変える」
「ではですな」
「大名になられ」
「姓も諱も変えられて」
「一新されますか」
「全てな」
 こう話してだ、元康は重臣達と共によい姓や諱を探した。そうして新田義貞の家臣の徳川という者からだった。
 姓を借りてそこで源氏ということにしたが。元康は此のことについて家臣達に話した。
「松平家は祖父殿の頃から新田家支流世良田氏系統の清和源氏と言っていた」」
「はい、そしてですな」
「それが徳川家なので」
「姓はそうされますな」
「これよりは」
「して本来の名は藤原からな」
 これまではこの姓が本来であったがというのだ。
「源になる」
「左様ですな」
「そして今川様が出家されてです」
「あの方も諱を変えられてはと言われていますし」
「それでは」
「そこまで気を使って頂くとはな」
 元康は義元の気遣いに感謝しつつ述べた、出家し都に入った義元と文を交えさせてそうしたことも言われたのだ。
「わしはよき主君を持っておった」
「全くですな」
「流石は天下を目指された方です」
「器が違いまする」
「全くじゃ、それで諱じゃが」
 新たなそれはというと。
「源氏となるからな」
「そこからですか」
「諱を変えられますか」
「そうされますか」
「うみ、八幡太郎様から取り」
 源義家からというのだ。
「家康でどうじゃ」
「おお、よいお名前ですな」
「徳川家康となりますか」
「姓と諱は」
「そうなりますか」
「うむ、そうしようぞ」
 これよりはというのだ。
「まさにな」
「そしてですな」
「独立され」
「そしてそのうえで」
「この三河を」
「岡崎からな」
 自分達の領地からというのだ。
「一つにしていこうぞ」
「わかり申した」
「既に我等は今川様から十万石を頂いております」
「三河で第一の家となっております」
「ではその力を使い」
「そうしてですな」
「三河を一つにする、水野家を組み入れ」
 まずはそうしてというのだ。
「我等に従いそうな国人達からな」
「組み入れていく」
「そうしますか」
「お主達に使者となってもらい」
 そうしてというのだ。 
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