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ドリトル先生の林檎園

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第九幕その五

「やっぱり紅玉が一番みたいですね」
「そうみたいだね」
「無駄骨だったんですかね、あたしもやったことは」
「いや、それは違うから」
「違います?」
「紅玉が一番いいのか疑問に思って」
 先生は優花里さん自身にこのことをお話するのでした。
「色々造ってみることはね」
「さんフジやジョナゴールドを使って」
「他の種類の林檎もね」
「それはいいことですか」
「そうだよ、そこからあらためてわかるし」
「紅玉が一番いいって」
「そして新しい発見があったりもするし」
 こうした場合もあるからだというのです。
「いいんだよ」
「そうですか」
「だから貴女のしたことはね」
「無駄骨じゃなかったですか」
「むしろ貴女自身があらためてわかった」
 アップルティーや林檎のお菓子には紅玉が一番いいということがというのです。
「いいことだよ」
「そうなんですね」
「じゃあお友達には」
「もううちで栽培している林檎は全部の種類を試しましたから」
「それで紅玉が一番とわかったからだね」
「はい、紅玉でいきます」
 このことを決めたというのです。
「そうします」
「ではね」
「はい、そうします」
「それではね」
「そう言ってもらって嬉しいです」
 優花里さんは先生ににこりと笑って応えました。
「それじゃあです」
「お友達の笑顔をだね」
 美味しいアップルティーや林檎のお菓子を食べてそうなることはもう言うまでもありませんでした。
「楽しみにしているね」
「その通りです、しかしあれですね」
「林檎もだね」
「そのまま食べて美味しい種類もあれば」
「お菓子とかにしてね」
「食べていいもんもありますね」
「そうだね、ただカレーの隠し味は」
 それにはといいますと。
「まあどんな林檎でもね」
「あっ、カレーですか」
「すりおろした林檎を入れたりするね」
「そうですね、小さく切ったのをそのまま入れたり」
「それは紅玉に限らないかな」
「紅玉はそっちでもいいと思いますけれど」
「大抵の種類でだね」
 先生は優花里さんに言いました。
「いいね」
「そうですね、隠し味に」
「そうだね、実は僕はカレーも大好きで」
 実際に大好物です、先生が日本に来てから一番親しんでいる食べものの一つとさえなっています。それでよく食べているのです。
「それでね」
「カレーに林檎を使うこともですね」
「知っていてね」
「今もこうしてお話出来るんですね」
「そうなんだ、ただ僕はイギリス人で」
 それでもと言うのでした。
「イギリスで林檎を使うカレーは」
「ないですか」
「あったかな」 
 首を傾げさせて言う先生でした。
「そうしたのは」
「そういえばイギリスってお料理は」
 優花里さんも言うことでした、このことは。 
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