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少しずつ明るく

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第二章

「今何の本読んでるか知りたいけれど」
「赤毛のアンよ」
「赤毛のアンなの」
「そうなの」
 こう彼に答えたのだった。
「前から読みたいって思ってて」
「それで読んでるの」
「そうなの」
「やっぱり文芸部だから」
「そのこともあるけれど元々本好きだから」
 それでとだ、桜は四季に答えた。
「それでなの」
「そうだったの、よかったらね」
 四季はここから頭の中で慎重に選択肢を選びながらそのうえで桜に話していった。何処か恋愛ゲームを思い出しながらだった。
 桜に赤毛のアンのことを聞いていってそれで最初の彼女の会話とした。それでその会話の後でだった。
 四季は友人達と食堂で同じテーブルに座っておかめうどんを食べつつ話した。友人達はそれぞれハンバーグ定食や木の葉丼、カレーライスといったものを食べている。
「別に拒否ってるとかね」
「そういうのないのね」
「北川さんの方も」
「バリアー張ってるとかは」
「ないわね、話しかけても」
 そうしたがというのだ。
「別にね」
「何もなかったのね」
「そうだったのね」
「特に」
「ええ、本当にね」
 うどんをすすりながら話した。
「変な娘でもないし」
「意地悪とか捻くれてるとか」
「こじれてるとか」
「そういう娘じゃないのね」
「一回話しただけだけれど」
 それでもというのだ。
「別にね」
「悪くないのね」
「そうなのね」
「じゃあ」
「そう、今度は一緒に帰ったり」
 そうしたりというのだ。
「もっとお話してもね」
「いい感じなのね」
「じゃあそうしてくのね」
「四季ちゃんとしては」
「ええ、そうしていくわ」
 実際にとだ、こう言ってだった。
 四季は実際に桜と時を見付けて話し掛けた、すると桜は必ず反応してくれたし何かと話もしてくれた。話すとだった。
「明るくはないけれど」
「別になのね」
「何も喋らないとか」
「無視するとかなくて」
「普通に」
 ごく、というのだ。
「悪くない娘よ、ちゃんと応対してくれるし一緒に帰っても」
「ああ、昨日ね」
「そうしたわよね」
「昨日どの部活もなかったし」
「それで声をかけたら」
 勿論四季の方からそうした。
「それならって応えてくれて」
「それでよね」
「一緒に帰ったのよね」
「途中まで」
「駅までだったけれどね」
 学校の最寄りの駅だ、大体そこで別れることが多いのが四季達の学校だ。線路が二本あってどっちに行くかなのだ。 
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