久し振りに一緒に
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第三章
「そうでしょ」
「それはそうだけれど」
「それで私はね」
美樹は今度は自分の前にいて言った。
「穂香ちゃんにね」
「会いに来るんだ」
「そうしていい?」
「穂香に会いに来るなら」
それならとだ、一誠は美樹に微妙になったがそれでも答えた。
「俺に断る権利ないじゃない」
「そうよね、それでね」
美樹はそんな一誠の顔を笑いながら見つつ話した。
「そのついでに三宅のお部屋に入ってもいいわよね」
「何でそうなるの?」
「それで三宅もね」
美樹は彼女のペースで一誠にさらに言った。
「お兄ちゃんに会いに来てね」
「登志夫さんに?」
「そのついでに私のお部屋に入るとか」
「なっ、何言ってるんだよ」
一誠は美樹の今の言葉に仰天して返した。
「俺が北条さんのお部屋に入るとか」
「だってお兄ちゃんが私のお部屋に来たら」
「登志夫さん来るの?」
「お兄ちゃんがお部屋の扉をノックして私がいいって言ったらね」
その時はというのだ。
「私入れてあげるわよ」
「そうなんだ」
「お兄ちゃん繊細だから入って来ないけれど」
「それでも登志夫さんがノックしてきたら」
「いいわよ」
「男の人お部屋に入れるんだ」
「お兄ちゃんは家族だからね」
それでというのだ。
「いいわよ」
「北条さんはそうなんだ」
「お父さんもね。それで三宅もね」
「俺もなんだ」
「いいから」
こう彼に言うのだった。
「うちに来たらね」
「男部屋に入れたらまずいんじゃ」
「何で?」
一誠の今の言葉にだった、美樹は彼の顔を覗き込んでそのうえで尋ねた。ここでも彼にそうしてきた。
「何でまずいのかな」
「だから何をするかわからないから」
「そうかな」
「俺の家に来てもだよ」
一誠は美樹にこの時のことも話した。
「俺のお部屋に入ったら」
「何をするかわからないの?」
「俺男だよ」
一誠はこのことを必死の口調で話した。
「本当に何するかわからないよ」
「じゃあその何かって何?」
美樹は一誠に微笑んだまま尋ねた。
「それで」
「えっ、何かって」
「だから三宅が今言う何かよ」
かなりだ、美樹は一誠の顔をさらに覗き込んで聞いてきた。
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