| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

運命

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第二章

「本当に」
「そこから大喧嘩になられて」
「今もですね」
「ゲーテさんとは言い合っておられますね」
「相変わらず」
「一度人と衝突したら続くからね」
 それがやたら起こるだけでなくというのだ。
「気難しくもあるからね」
「しかも頑固ですしね」
「頑迷と言っていい位に」
「ご自身が折れることはほぼないですし」
「人のお話も聞かれないですし」
「耳が悪いからと言うけれど」
 よく言われるその耳の話もした。
「それとは別だよ」
「そうですよね」
「この場合は」
「人のお話を聞かれないということで」
「また別ですね」
「性格の問題だよ」
 そちらの話になるというのだ。
「この場合は」
「はい、本当に気難しい方で」
「一度の衝突でやけに考え込まれて」
「ご自身が折れられることはまずなく」
「人のお話も聞かれないので」
「だから人と一旦衝突したら」 
 それが常のことであってさらにというのだ。
「続く人だから」
「そこが問題ですよね」
「ゲーテさんのことも」
「他の方とのことも」
「とにかく難しい方ですね」
「生きにくい人だよ」
 甥は叔父のことについてこうも言った。
「とてもね」
「いい部分もありますが」
「清廉潔白な方で」
「そして世の中のことを真面目に考えられていて」
「啓蒙的な方です」
「それはいいけれど」 
 それでもとだ、甥は話した。
「これ以上はない位に生きにくい人だよ」
「そのせいか周りは嫌う人が多いですね」
「敵も多い方です」
「それも非常にです」
「そうした方ですね」
「うん、それで今回は」 
 何故叔父が怒っているのか、甥は本題に入った。
「どうしたのかな」
「朝からです」
「何か随分と不機嫌で」
「これもよくあることですが」
「そしてお昼前にになるとです」
「一度外出されましたが」
 それでもというのだ。
「すぐに激怒された顔で帰ってこられて」
「ああなってしまわれました」
「また下らない理由かな」
 甥は首を傾げさせつつまた言った。
「どうでもいい様な」
「そうでしょうか」
「この度のことも」
「やはり」
「そうかな、けれどね」
 それでもとだ、甥は話した。
「ずっとああだと嫌だからね」
「たまったものではありません」
「私達にしても」
「旦那様の癇癪はいつもにしても」
「それでもです」
「この度は普段より酷いですから」
「ここはね」
 甥は少し考えてから使用人達に話した。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧