レーヴァティン
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第百三十三話 砦攻めその八
「思われるだけならな、しかしな」
「見られると」
「そうなると」
「それはことだ」
まさにというのだ。
「それはな」
「だからですね」
「まずは隠す」
「疑われようとも」
「それは気にせずに」
「そうだ、そして整えば」
その用意がというのだ。
「仕掛けるぞ」
「わかりました」
「それではです」
「用意が整った時に」
「熊本城を攻め落としますね」
「そうする、そして今は英気もな」
これもというのだ。
「養っておけ」
「では兵達への飯は」
「常に満腹にだ」
謙二にこう答えた。
「飯はあるし補給路も確かだ」
「その様にしていますので」
「だからだ」
「それで、ですね」
「兵達に飯はだ」
「常にたらふくですね」
「食わせておく、そうしてだ」
軍勢の全ての兵達を常に満腹させてというのだ。
「英気を養いな」
「そのうえで」
「今は休ませもする」
「時が来るまでは」
「それでいい、それとだ」
英雄は謙二にさらに話した。
「一つ気になることがある」
「と、いいますと」
「兵達は男が多い」
この世界では女でも兵になる、そして中には将帥にまでなった者もいる。だが男が多いことは事実だ。
「男が多いとな」
「それを見てですね」
「女達も来るな」
「普通の商人と共に」
「春を売りにな、それ自体はいいが」
英雄はそれ自体はよしとした。
だがそれと共にだ、こうも言うのだった。
「問題はそれで身を持ち崩したりな」
「女色に溺れて」
「駆け落ちをする奴も出れば」
「病ですね」
「それに罹る奴もいるな」
「そうした病はこの世界にもあるからな」
耕平も言ってきた。
「難儀なことに」
「そうだな」
「わい等も気をつけてるけれどな」
「あの病気は厄介だ」
「なったらな」
「色には付きものだ」
この病に罹ってしまうことはというのだ。
「どうしてもな」
「それ自体はええにしても」
「俺も楽しんでいる、女はいいものだ」
「自分はまた凄いな」
「溺れているつもりはないが」
「かなり好きやな」
「そのことは否定しない、だが」
色自体はいい、英雄は自分が楽しんでいるものについて他者にそれを禁じる様なことはしない。それは間違っていると確信している。
だがそれでもだ、彼はその色について言うのだ。
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