仮面ライダービルド 笑顔絶やさずに
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第十三章
「この世界の、地球のことも宇宙のことも」
「何もかもがか」
「現に君は私の存在を知らなかった」
「そのことが何よりの証拠か」
「そうだ、そして君の魂も力も全ての君の頭の中に入れて」
そうしてというのだ。
「二度と出られない様にした」
「何っ、じゃあこの頭が潰されれば」
「君は完全に滅びる」
そうなってしまうことをだ、スサノオはエボルトに告げた。
「この世から完全になくなる」
「じゃあお前は俺を」
「私は君を殺しはしない」
悠然とした、そのままの言葉だった。
「決してな、君の命は君がこれ以上はないまでに見下していた彼等に委ねよう」
「まさかそれは」
「彼等だ」
サッカーボールを転がす様にだった、スサノオは頭だけになっているエボルトを前に蹴り出した、そうしてビルド達の前に転がした。そうしてから今度はライダー達に言った。
「さて、君達は彼をどうするかね」
「俺達がか」
「そうだ、彼を」
エボルトをとだ、スサノオはビルドに問うた。
「これまで君達を苦しめていた彼を」
「助けろ、助けてくれ」
ここにきてエボルトは命乞いをはじめた。
「俺が悪かった、もう二度とあんなことはしない」
「こう言っているが」
「こいつは特別な存在だ」
ビルドは自分達に対して必死に命乞いをするエボルトを見つつスサノオに答えた。
「良心や善意なんかは全くない」
「そう、彼は感情がないという様なことを言っていたが」
「感情はあったんだ」
「その通りだよ」
「しかしその感情は悪意だけだ」
ビルドは看破した。
「他には何もない」
「そんな奴の言うことなんてその場凌ぎに決まってるだろ」
クローズも言ってきた。
「ここで助かっても機会があればな」
「また多くの人を不幸にしてそれを見て笑うに決まっているんだ」
「そんな奴にすることなんて一つしかないだろ」
「ここで完全に滅ぼす、こいつはどの世界にも存在してはいけない奴だ」
ビルドはこうまで言った。
「悪意しかなくて力をその為にしか使わない奴なんてな」
「滅ぼすしかないからな」
「それが君達の答えだな」
まさにとだ、スサノオはビルドとクローズの言葉を受け取った。
「ではその様にし給え」
「待て、俺はもう何も出来ないんだぞ」
「それがどうしたってんだ」
クローズはエボルトの頭に近寄りつつ彼に返した。
「お前はそうした命をどれだけ弄んだ」
「ここで俺達がお前を完全に滅ぼす」
ビルドも来た、そして彼もスサノオに言うのだった。
「もう二度とお前が悪意を撒き散らさない為にな」
「た、助けてくれ」
「駄目だ」
二人同時にエボルトに告げた、そうしてその頭を共に蹴り飛ばした。するとエボルトの全てが入った彼の頭は空中で無様な断末魔の声をあげて爆発四散した。
その結末を忌々し気に二人にまたスサノオが言ってきた。
「さて、私が君達の前に出た理由だが」
「俺達と戦うつもりだろ」
クローズは今度はスサノオに言い返した。
「そうだろ、じゃあな」
「待つのだ、それは今ではない」
「どういうことだ」
「どういうこともない、君達とは然るべき場所で戦いたいのだ」
そう思うからだというのだ。
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