レーヴァティン
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第百三十二話 二手に分かれその十
「そして朝鮮半島もな」
「あそこな」
今度は耕平が言ってきた。
「今は中華街あるけどな」
「それでもだな」
「もう横須賀や神戸と比べると」
そして長崎のものともだ。
「もう一区画程しかない」
「ない様なものらしいな」
「昔はあったらしいな」
「日本の統治時代だな」
「そや、あそこが日本やった時はな」
「あったな」
「総督府が華僑の人等が中華街もうけてええかって言われて」
それでだったのだ。
「快諾してな」
「あったか」
「そやけどな」
「それがか」
「日本が去って」
第二次世界大戦に敗戦してのことだ。
「それからな」
「なくなったか」
「もう日本の統治が終わってすぐに」
まさにとだ、耕平は英雄に話した。
「消え去ったらしい」
「それは凄いな」
「華僑はタフで順応性高いけど」
「あの半島には馴染めなかったか」
「いきなり酷い政権出来たしな」
日本の独立直後にだ、四年程の連合国の統治の後で。
「南北共に」
「南の李承晩にだな」
「北の金日成ってな」
「あの二人ではな」
「どっちもまともやなかったからな」
双方共徹底的な弾圧と虐殺そして内戦で知られている、そうして多くの血を流した実に悪名高い政権達である。
「内政も滅茶苦茶やったし」
「それで華僑もだな」
「もう逃げていって」
半島全体からだ、彼等もそうしたのだ。
「それでな」
「あの半島には中華街がないか」
「そうらしいな」
「そういうことか」
「というかです」
さしもの謙二もどうかという顔で言ってきた。
「ある意味それは」
「凄い話やな」
「華僑の人達が馴染めずですね」
「中華街もないってな」
「かなりのものです」
「この世界でもあるけど」
中華街はというのだ。
「この世界でも起きた世界でもな」
「あちらにはない」
「そういうこっちゃ」
「中華街はあっていい」
ここでだ、英雄は話した。
「別にだ」
「それでやな」
「商いも自由にさせてだ」
「そして道教も」
「信仰も自由だ」
彼等のそれもというのだ。
「一切な」
「それはええことや」
「勿論文化もだ」
こちらもというのだ。
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