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およしになってねティーチャー

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第五章

「二度と実家に帰らんわ」
「そうされますか」
「それこそな、大阪は大好きやからいつも行ってるけどな」
 それでもというのだ。
「実家には帰らん」
「そうされますか」
「葬式とかの時以外はな」
 何だかんだで親子の情の最低限は守るつもりだった。
「そうするわ」
「そうですか」
「しかし、学校の先生ってな」
 悠木はここでこうも言った。
「何かな」
「何か?」
「そういうの言われる仕事か」
「セクハラとかですか」
「そういうのな」
「いい鉄は釘にならない」
 大山は悠木に応えてこうした言葉を出した。
「それでええ人はです」
「学校の先生にならんか」
「言われますしね」
「丁度神戸市でアホな連中がいじめやったしな」
「暴力事件よくありますし」
「それもあるな」
 悠木も否定しなかった。
「実際にな」
「学校にの先生にはですよね」
「生徒リンチみたいにしたりとかな」
「そういう話多いですね」
「わしも暴力は振るわん」
 それは絶対に駄目だと己に戒めている。
「どんなに怒ってもビンタ一発もな」
「されないですね」
「自分がどつかれるとな」
「痛いですからね」
「他人に痛いことはしたらあかん」
 絶対にと言うのだった。
「身体にも心にもな」
「そうですよね」
「わし等の仕事はそれをわかってへん奴多いこともな」
 この彼にとって嫌な現実もというのだ。
「事実やけどな」
「残念なことですね」
「そしてセクハラもな」 
 母に前に言われたこのこともというのだ。
「実際にな」
「ありますしね」
「女子生徒とか若い女の先生へのな」
「それでやっておいてですね」
「ばらすな、やからな」
 そう言って脅迫するというのだ。
「腐ってる奴が多いのは事実やな」
「本当に残念なことですね」
「それでおかんは言うたか」
 今このことを振り返って言った。
「そういうことか」
「ですかね」
「そのことは納得した、けどな」
 それでもとだ、悠木は怒った顔に戻って話した。
「息子に言うか」
「それですね」
「そこがな」
「悠木先生としては」
「腹が立って仕方ない」
 大山にはっきりとした声で答えた。
「ほんまにな」
「もう二度と言うなですか」
「そんな気持ちや」
 この言葉は出さなかったがというのだ。
「リアルでな」
「そうですか」
「セクハラとかホモとか」
「ホモは犯罪ではないですけれどね」
「人それぞれでもわしはホモの趣味はなくてな」
「男子生徒にセクハラもですね」
「せんからな」
 そうした趣味は一切ないというのだ。
「言うんや」
「そういうことですね」
「全く、あの糞婆今度言うたら」
「お葬式の時以外はですか」
「二度と実家に帰らん」
 そうするとだ、悠木ははっきりと答えた。 
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