魔法少女リリカルデジタルデビルサーガ
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01.始まる物語
前書き
主人公はオリ主です。
ジャンクヤード。
そこはテクノシャーマンによって創られた優秀な戦闘AIを育成する為の箱庭である。
《アスラ・プロジェクト》
それがこの実験の名である。このジャンクヤードに堕とされたのは皆《ニルヴァーナ》つまりは現世で死した力ある者達である。
このジャンクヤードは五人の戦闘集団(トライブ)にが別々に別れて拠点を持っており、そのトライブ一つ一つにそのトライブを束ねるリーダーがいる。
彼等は何時果てるとも知らない闘争を日夜行っていた。
彼等は戦う意味を知らない。色を写さぬ淀みし瞳で黙々と抗争を続けていた。
そんな彼等は唯一無二の目的を持っていた。
それは…………《全てのトライブを倒し『楽園(ニルヴァーナ)』へと進むこと》。
しかし、機械的な日常はある日を境に一変する。
ある日別トライブとの抗争中に空から墜ちてきた謎の記憶喪失の少女“セラ”を保護する。
ジャンクヤードではまず見かける事の無い黒髪に浮世離れした感じを漂わせる少女と共に遥か天よりある何かが墜ちた。
その何かの光る物体は未だ抗争中であった両トライブの中央で破裂し、光る帯がこの戦場にいる……否、このジャンクヤード中にいる全ての者を貫き存在を組み換える。
『Om Mani Padme Hum』
男の脳に浮かぶ謎の言葉。
【喰らい尽くせ、Siva】
ニルヴァーナの住人はこの瞬間より悪魔に進化する力を手に入れ、同時に瞳に色が宿った。彼はやがて人としての心を持ち、それ故に悩んでいく。
「これで……終わりか………」
《神》に人間という存在を認めさせ、少年の戦う理由が消えた。
元々死したその身はこれからゆっくりと消滅するのだろう。
だが、皆その未来を前にしても一切悲しむ様子を見せない。
何故なら、彼等は望んで死に、セラフや人間の為に戦い、そして消えるのだから。
「それじゃあなお前等」
赤髪の男“ヒート”は手を振りながら去っていく。
「俺ももう行くとすっぜ」
水色の髪をドレッドヘアーにした男“シエロ”は両手をブンブンと大きく振りながら消える。
「ふむっ楽しかったぞ。ではまた会おう」
感情が読みにくい緑色の髪の男“ゲイル”は眉間を触りながら粒子へと戻る。
「ふふっあなたとの戦い楽しかったわ。また皆集まってパーティーでもしましょ」
ピンク色の長い髪をし、左目に傷を持つ女性“アルジラ”は楽しそうに微笑みながら姿を消した。
宇宙のような空間に漂うのは残った最後の一人である少年だった。
“エルマ”それが彼の名前である。
黒に縁取られた純白の腰まである髪に血のように赤い瞳。死人と間違えそうになる程の青白い肌をしたやけ細った身体をする。
生前の名前は“エルマ・ヴェルトーチカ”セラとは違うプロジェクトの被験体であった。
そんな彼は唯一セラとは友達だったが為にこの煉獄に巻き込まれたのである。
そんな彼はやる事を終え、後は消滅に身を委ねるだけである。
『君はこのまま消滅してもいいのかい?』
そんな彼に問い掛けるのは左耳が白い黒猫“シュレティンガー”である。
彼は全にして一なる存在。他人にして自分。
そんな彼の言葉にエルマは詰まらなそうに呟く。
「嫌に決まっているだろう?ボクはまだまだ未知なるモノを知りたいし、やりたい。もっと生きてみたいさ」
だが叶わない願い。そんな事は言われずとも理解している。
『もし………まだ生きられるとしたら君はこの手を取るかい?』
「な!?」
それは予想外な言葉。まだ生きられる?
『ただしこの荒廃した大地ではなく此処とは世界軸を違える世界だがね』
世界軸と言う意味は良く理解出来ないが、今のニルヴァーナのように荒廃した世界ではない世界に行けるようだ。
「これぞ渡りに船。って、この力はどうなるんだい?」
そう。例え違う世界に渡って命に危険のある世界なら失われた困るからだ。
『安心しなさい。その悪魔の力は君という証だからね、だけどリミッターは掛けさせて貰う』
「リミッター?」
『君が本当に力を望んだ時に外れるようにする。さて、どうする?本当に行くかい』
そんな事は聞くまでもない。
「当然だね。よろしく頼むよシュレティンガー」
エルマの伸ばした手をシュレティンガーがその小さな手で掴む。
すると二人を中心に七色の光が溢れだし、エルマの意識が薄れていく。
『それじゃエルマ。君の未来に幸せの恩寵がありますように』
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