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まさに傲慢

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第四章

「あの人凄かったね」
「本当ですよね」
「もう驚きましたよね」
「あんな人いるんだって」
「世の中には」
「僕も色々な人に会ってきたよ」
 箸本は笑って話した。
「これまで生きてきてね」
「弁護士でしたしね、代表」
「テレビにも出ておられて」
「大阪の知事でしたしね」
「市長もされて」
「その中でね」 
 まさにというのだ。
「本当に色々な人達と会ってきたけれど」
「ああした人はですか」
「代表もはじめてですか」
「そうだったのですか」
「うん、本当にね」
 笑っているが真剣なものもそこにはあった、そのうえでの言葉だった。
「ああした人はね」
「物凄く偉そうでしたね」
「俺を誰だと思ってるって言ってきて」
「ふんぞり返って取材に来て」
「浅墓の大貝だぞとか自分で名乗って」
「東大法学部とかも言って」
「聞いてもいないのに」
 それでもだったのだ。
「自分から言って」
「それで取材させろとか騒いで」
「取材させないと何書くかわかってるのかとか」
「筆誅を加えるぞとか言って」
「何かあれだったね」
 箸本はこうも言った。
「ヤクザ屋さんだったね」
「そうそう、そうした感じでしたね」
「もう殆どその筋の人でしたね」
「カタギの人に思えなかったですね」
「とても」
「浅墓の記者さんって大抵ああなんだよね」
 こうもだ、箸本は自身が率いる政党のスタッフ達に話した。
「偉そうな人多いんだよ」
「ですよね、マスコミの中でも」
「一番態度大きいですね」
「傲慢で」
「それで態度も悪いですが」
「あの人はその中でも凄かったよ」
 大貝、彼はというのだ。
「それでうちの政党には取材お断りにしたけれどね」
「態度悪過ぎますからね」
「取材の席で手と足組んでふんぞり返ってで」
「それで浅墓の大貝だ、ですから」
「本当に俺を誰だと思ってるとか言いますし」
「それも当然ですね」
「そうするしかないです」
 党の者達の笑って言う、そして笑いながらこうしたことも言葉に出した。
「けれど取材お断りにしたらですよ」
「本当に無茶苦茶書かれるかも知れないですね」
「代表前に浅墓が出している週刊誌で叩かれてましたし」
「仇名まで出されて」
「その時は僕がちゃんと反論するから大丈夫だよ」
 箸本は党の者達に笑って話した。
「その都度ね」
「だからですね」
「安心していいですか」
「そうですか」
「大貝さんが何言っても何書いてもね」
 実際にとだ、こう言ってだった。
 ネットでの動画はこれで終わった、すると。
 ネットを観ていた視聴者達もそれぞれ思った。
「浅墓の記者って悪名高いけれどな」
「昔からそんな奴多かったけれどな」
「大貝ってそんなに酷いのか」
「どんな奴なんだ」
 こう話して大貝について調べた者がいたが。 
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