| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

レーヴァティン

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百三十一話 追撃戦その六

「本当に論外だ」
「そうお考えなので」
「俺は殺さない」
 兵達をというのだ。
「自軍に加えていく」
「左様ですね」
「だから今回もな」
「倒した兵は生き返らせて」
「捕虜はそのままだ」 
 無論傷付いた者は手当をする。68
「組み入れる」
「そうして戦い勝てば」
「その度にだ」
「領地だけでなく兵も多くなり」
「強くなっていく」
「いいことですね」
「孫子にもある」
 この兵法書中の兵法書と言っていい書にもというのだ。
「敵兵はな」
「自軍に加えていけと」
「そうすればより強くなるとな、実際に織田信長公もな」
 この英傑もというのだ、まさに戦国大名の代表である。そこから天下人になった者として知られている。
「そうしてだ」
「勢力を拡大していきましたね」
「だからな」
「貴方もですね」
「そうする、それに降れば助かるなら」
 今度は敵兵の立場に立って考えて述べた。
「降りやすい」
「降伏を許さない軍が敵だと」
「誰もが死に物狂いで戦う」
「そうなりますね」
「死兵となってな」
 死ぬまで必死に戦う兵ということだ、この兵が極めて強いことも兵法書には書かれている。
「そうしてくる」
「それではですね」
「こちらも損害が出るしな」
「よくないですね」
「俺達の世界ではそうなっている、そして」
「こちらの世界でも」
「復活は出来るが」
 戦死してもだ、英雄達も実際に戦死した者は復活させている。
「しかしだ」
「それでも」
「降らないとなるとな」
「やはり同じですね」
「復活出来ても降伏を許さないならな」
「そうした相手とは死ぬまで戦う」
「そして戦うこちらもだ」
 死兵となった敵と戦うならというのだ。
「犠牲を出す」
「そうなりますね」
「双方いいことはない」
「敵は皆死にこちらも犠牲が多く出る」
「ならだ」 
 そうなるよりはというのだ。
「俺はそれよりもだ」
「敵は降し」
「そしてこちらの兵とする方がな」
「遥かにいいですね」
「まさにな、そう考えるからだ」
 それ故にとだ、英雄は紅葉に話した。
「俺はだ」
「降る兵は組み入れていっていますね」
「そうして勝つ度にな」
 まさにというのだ。
「軍を大きくしていく」
「ただ領土を拡大し民を手に入れるのではなく」
「そちらもな」
「兵を入れることも」
「そうしていく、そしてだ」
 英雄は攻める様に告げつつさらに言った。
「ここは二割、多くて三割だ」
「敵兵を叩くのは」
「それだけ叩くとな」
 五万の軍勢のそれだけをというのだ。
 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧