恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十七話 ビリー、丈に挑みかかるのことその十
「俺はそれよりも忍者になりたかったからな」
「忍者にか」
「他の国の奴なのにか」
「そうさ。目は青いけれどそれでも大和魂は身に着いたと思ってるさ」
「それだよな」
ガルフォードの話をここまで聞いてだった。ダックは言うのだった。
「結局あれなんだよ。心の持ちようなんだよ」
「それでどうしていくか」
「それか」
「街が嫌なら出て行ってな」
それはもうそうした方がいいというのであった。どうしようもないとだ。ダックは二人の話からそのことを悟ったからである。それでだ。
しかしだ。やはり彼は二人にこう言うのを忘れなかったのである。
「それでだよ」
「これからか」
「それと俺達がどう思うかか」
「それが大事だからな。しっかりとしなよ」
「まだ完全には頷けないけれどな」
「少し無理があるがな」
それはだと話す二人だった。しかしだ。
彼等はだ。少しだけ明るい顔になってだ。こう話すのだった。
「それでもな。この世界でやっていってな」
「帰られたら。考えるか」
少しだけ前向きになれたのだった。そんな二人を見てだ。
ガルフォードはだ。笑顔で言った。
「やっぱり人間前を見ないとな」
「ああ、俺だってな」
ダックもだ。明るく言うのだった。
「今度こそテリーの奴に勝つぜ」
「あんたのライバルだっていうんだな」
「ああ、そうさ」
笑ってだ。こう返すダックだった。
「やってやるぜ。俺はな」
「おっ、ダックか」
いいタイミングでだ。テリーが出て来た。
そうしてだ。彼からダックに言うのだった。
「久し振りにやるか?」
「ああ、やるか」
ダックも笑顔で返すのだった。
「それじゃあな」
「やるか」
「今度は俺が勝つぜ」
「へっ、今度も俺が勝つからな」
こんな話をしてだった。二人は明るく闘うのだった。
そんな明るい世界でもあった。そしてだ。その中でだ。
彼等は出陣の時を迎えていた。その時は確実に近付いてきていた。
だが、だ。皆こんな有様だった。
「ううむ、困った」
「そうだな」
「ここ何処なのよ」
李の言葉にだ。リックと香緋が言うのだった。
「道に迷うとはな」
「困ったわね」
「済まない、私はどうもだ」
李はだ。困った顔で二人に話すのだった。
「方向音痴なのだ」
「あまりそうは見えないがな」
「意外ね」
「さて、ここは何処だ」
李は困り果てた顔で周囲を見回す。周りには何も見えない。全くの荒野だ。
その中でだ。三人はそれぞれ周囲を見回して話すのだった。
「許昌の近辺らしいが」
「陣地も見えないが」
「本当に一体何処なのかしら」
そしてだ。ここでリックは李に対して言うのだった。
「あんたは中国人だな」
「うむ、そうだが」
「中国人なら中国の地形は知っていないのか」
「残念だが中国は広い」
李がここで言うのは中国の広大さだった。
「私も。だから」
「そうか。わからないか」
「それに私はだ」
まただ。自分のことを話す李だった。
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