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レーヴァティン

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第百二十八話 博多からその九

 英雄は仲間達と共に蜜柑を食べたがその時にだった。
 英雄は仲間達にこうも言った。
「これは兵達にもだが」
「あたし達にもだね」
「そうだ、風呂も用意してある」
 こちらもというのだ。
「この世界の萩には温泉もある」
「だからだね」
「兵達には出陣前にな」
「身体を清めろってだね」
「命じてある、そしてな」
「あたし達もかい」
「出陣の際は身を清めることもだ」
 このこともというのだ。
「習わしだからな」
「それはね」
 桜子は英雄の話を聞いて述べた。
「確かにあるね」
「そうだな、この世界でも」
「具足に香を焚いたりね」
「そうしたことと同じでな」
「戦の前の清めとして」
「風呂も用意した」
 だからだというのだ。
「俺達もだ」
「入ればいいんだね」
「女の兵達は女湯に入る」
 温泉のというのだ。
「そしてだ」
「あたし達もだね」
「そこに入るといい、そしてな」
「身体を清めて」
「それに二日酔いには注意しろと言ったが」
 先程の幸正との話も述べた。
「やはり明日の出陣に備えてだ」
「酔いはだね」
「醒ましておくべきだからな」
「その意味でもだね」
「風呂に入るべきだ」
「そうだね、じゃあね」
「風呂にも入る」
 即ち温泉にというのだ。
「湯にな」
「じゃあね」
「そして寝てな」
 風呂に入った後の話もした。
「明日はな」
「出陣だね」
「いよいよな」
「その時が来るんだね」
 桜子はここでしみじみとした口調で述べた。
「九州攻めの」
「我々は既に近畿と四国、山陽と山陰の全域に」
 謙二も言ってきた。
「東海と北陸の一部を手に入れています」
「そこにだな」
「九州も加われば」
「この浮島の統一にな」
「さらに大きく向かうことになるので」
 それ故にというのだ。
「九州攻めはです」
「成功させねばならないな」
「はい」
 まさにという返事だった。
「この度は」
「そうだな、ではな」
「今はですね」
「蜜柑の後でな」
 それを食べてというのだ。
「そしてだ」
「お風呂に入り身体を清め」
「酒も醒ましてな」
「よく寝て」
「出陣ですね」
「そうだ、博多から太宰府までを抑える」
 まずはというのだ。 
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