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ヘタリア大帝国

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TURN25 アフリカ戦線その十一

「ソビエトを倒すぞ」
「ドクツの生存圏確保の為の戦いね」
「それに入るからな。しかし」
「そう、ここでもしかしなのよね」
「ロンメルがいれば万全だったがな」
 溜息と共にだ。レーティアはまたしてもその顔を曇らせた。彼女の完璧な作戦計画も今は予定が狂っていた。彼女にしても困ったことだった。
「だが。アフリカ戦線ができたからな」
「一気にスエズを攻め落としたらどうかしら」
「そしてアフリカ戦線自体をなくすか」
「そうすればロンメル元帥を呼び戻せるわ」
「いや、残念だがそれもできない」
 グレシアのその提案をだ。レーティアは退けるしかなかった。
 そして残念そうな顔でだ。こう言ったのである。
「スエズを陥落させればそこからアラビア、インド方面に出るな」
「エイリスの植民地の中でも特に重要な部分にね」
「そうなればそこからエイリス軍が大挙して攻めて来る」
「今の時点でそれをやれば」
「そうだ。エイリスとの再度の全面戦争だ」
「バルバロッサ作戦どこではないわね」
「海驢作戦は再開する」
 このことはもう決めていた。だが、だったのだ。
「しかしそれはバルバロッサの後だ」
「ソビエトは今のうちに叩かないとね」
「さもなければ手がつけられなくなる」
「あれだけの国力があるからね、ソビエトは」
「しかも完全な独裁国家だ」
 それが共有主義の実態だった。正体はファンシズムに匹敵、いや下手をするとそれ以上の独裁国家なのだ。共有主義はそのまま独裁主義なのだ。
 そしてそれ故にだとだ。レーティアは言うのだった。
「カテーリンが軍事優先の政策を出せばだ」
「ソビエト全体がそれに従ってね」
「恐ろしい大軍が編成される」
「おまけに装備もいい、ね」
「だからだ。あの国は今のうちにだ」
「叩くのが一番ね」
「エイリスよりも先に叩く」
 その為にだというのだ。スエズ侵攻は。
「スエズはそれからでいい」
「ソビエトを倒してから。エイリス本土自体を占領して終わらせるのね」
「エイリスの心臓部を潰す」
 即ち首都であるロンドン星域を陥落させるというのだ。
「それで終わらせる」
「できたけれどね。あと一歩で」
「今言っても仕方がない」
 過ぎたことは、だった。レーティアは過去から学ぶが過去のことに囚われることは好まなかった。
「だからだ。今はだ」
「アフリカ戦線にはあれ以上戦力は送れないわね」
「しかし。ロンメルがいないとな」
 また溜息を出すレーティアだった。表情にも憂いがある。
「バルバロッサ作戦の成功もおぼつかないが」
「本当にね。どうしたものかしらね」
「とりあえず戦力が欲しい」 
 レーティアは切実な顔で述べた。
「バルバロッサ作戦成功の為にな」
「何処かにいないかしら。優秀な提督に将兵が」
「占領地を見てみるか。少し探そう」
「ええ、バルバロッサ作戦発動前にね」
 レーティアとグレシアは二人でロンメル達の穴埋めをする戦力を探しにかかった。そしてそのことはドクツ軍首脳部にも伝わっていった。それがまた一つの人物を世に出すことになったのである。だがその人物がどういった者かは神のみぞ知ることだった。
 このことは北アフリカにいるロンメルにも伝わった。彼はプロイセンからこの話を聞いたのだ。
「総統閣下が人材を探しておられるか」
「ああ、俺達がこっちに来たからな」
「ソビエトとの戦いの為のだな」
 そのことはロンメルも知っていた。元帥としてバルバロッサ作戦の会議に出席していたからだ。
「いよいよはじまるか。あの作戦が」
「俺達も本来はバルバロッサに参戦できたんだがな」
「仕方がない、そのことは」
 ロンメルは残念そうな顔になったプロイセンに微笑んで述べた。
「我々は我々の戦場で戦うだけだ」
「それはそうだけれどな。けれどこのままじゃな」
「そうだ。バルバロッサ作戦成功の為の戦力がない」
「それどうすればいいだろうな」
「彼がいればな」
 ロンメルはふとだ。遠い目をして言った。
「推挙したのだが」
「んっ?誰をだい?」
「士官学校の同期だ。彼がいればな」
「士官学校っていうと軍人かよ」
「中々できた人物だった。しかし何故か途中で士官学校を自分から退学した」
 そしてだというのだ。
 
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