ヘタリア大帝国
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TURN25 アフリカ戦線その七
星域に熱砂が吹き荒れていた。これではだった。
「視界さえだな」
「そうですね。ままなりませんね」
「肉眼ではとても見えません」
ドクツ軍の参謀達がロンメルに答える。
「これでは侵攻もおぼつきません」
「敵の居場所も肉眼では」
わからないと話す。しかしだ。
ロンメルはここでだ。こうドクツ軍全体に言った。
「目じゃない、レーダーもあまり使えそうにないがな」
「それでは何を」
「何を頼りにされますか?」
「偵察艦だ」
それを使うというのだ。耳だった。
「今はこっちの方がまだ使えそうだ」
「確かに。そうですね」
「今はまだ肉眼よりはましですね」
「レーダーの妨害よりも」
「だからだ。ここは無人の偵察艦を使って敵を探す」
そうするとだ。ロンメルは冷静そのものの顔で述べる。
「そして敵を捕捉すればだ」
「ああ、戦闘に入るんだな」
「そうするんだね」
「その通りだ。プロイセンさんと妹さんは俺と共に敵の横や後ろを動き回る」
無論上下にもだ。ロンメル得意の機動戦略だ。
そしてもう一方はというとだった。
「イタリン軍だが」
「情報を提供してくれればだ」
モニターにはユリウスも出て来た。イタリアも一緒だ。
その彼等がだ。ロンメルにモニターから言ってきたのだ。
「我々はエイリス軍に正面から向かう」
「俺達も頑張るからね」
「正面はお任せします」
ロンメルはユリウスに対してこう返した。
「では。まずは敵を探しましょう」
「よし、それではな」
「敵を捕捉しようね」
ユリウスもイタリアもロンメルの策通りまずは索敵にかかった。そうしてすぐにだ。
北アフリカ星域の前方、彼等から見てそこにエイリス軍が展開しているのを発見した。彼等を見つけるとすぐにだ。
ロンメルはモニターからこうユリウスに言った。
「まずはドクツ軍が動きます」
「敵の横に回り込むか」
「そうします。敵はまだ我々に気付いていません」
「ドクツ軍には、だな」
イタリン軍には既に気付いていた。敵にしても。
それがわかるのは彼等がイタリン軍に向かって進んでいるからだ。敵も動きだしていた。
その彼等を見てだ。ロンメルとユリウスは話すのだった。
「我々には気付いているが」
「申し訳ありませんが囮という形になります」
「それはいい」
自軍が囮になることはよしとするユリウスだった。そのうえでこう言うのだった。
「勝つ為だ。それもな」
「すいません、それでは」
「勝とう」
ユリウスは強い表情でロンメルに述べた。
「この戦い、必ずな」
「勝利を我等の手に」
ロンメルはユリウスのその顔を余裕のある笑みで見ながらこうも言った。
「その後で祝いといきましょう」
「そうしよう。それではな」
「敵艦を見ますと騎士提督であるモンゴメリー提督はいません」
「敵の司令官がいないのか」
「おそらくスエズにいるのでしょう。向こうも何か事情があるみたいですね」
「前線指揮を執ると思っていたが」
ユリウスだけでなくロンメルもそう見ていた。イタリン軍はこの北アフリカから追い出された時はモンゴメリーの熟練の指揮の前にも敗れたのだ。だからこそ彼が出て来ると見ていた。
だが彼は今は戦場にいない。このことはまさに意外だった。しかしだ。
ロンメルはそのことについてだ。こうも言ったのだった。
「我々には好都合です。それならです」
「そうだな。勝たせてもらおう」
ユリウスも応えてだ。そのうえで遂に戦闘に入った。
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