レーヴァティン
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第百二十七話 統治の仕組みその十
「この浮島も西の浮島も人間しかいないが」
「他の浮島や今は石となり海に覆われている世界はです」
「人間だけではありませぬ」
「他の多くの人がおりまする」
「エルフやドワーフと」
「狼人や獅子人もおりまする」
「そうだな、この二つの浮島だけか」
英雄はあらためて言った。
「人間しかいないのは」
「その様です」
「我等はこの二つの浮島しか知りませぬが」
「どうやらです」
「他の浮島や下の世界はそうなっています」
「この二つの浮島はかなり独特だな」
この世界の中でというのだ。
「人間だけしかいないからな」
「そしてその二つの浮島だけがです」
「今は存在しております」
「他の浮島や世界は石になってしまい」
「そのうえで海の中にありますが」
「そこは違うな、ではそうしたものを見る為にもな」
英雄は老中達にあらためて話した。
「俺はこの世界を救う」
「そうされますな」
「これからも」
「是非な」
老中達に強い声で約束した、そうした話もしつつ政を進めていってだった。
英雄はある日政の状況を聞いて目を鋭くさせて言った。
「時が来た」
「では」
「いよいよやな」
「出陣じゃのう」
「そうされますか」
「そうする」
まさにとだ、英雄は仲間達に話した。
「ここはな」
「わかったぜよ、では今から」
「兵をこの大坂に集結させてだ」
当季に応えて話してだ。
「そのうえでな」
「萩までじゃな」
「軍を率いてだ」
集結させたその大軍をというのだ。
「あちらに移ってな」
「そうしてじゃな」
「萩城を拠点にしてな」
萩にあるその城をというのだ。
「そうしてだ」
「そこからじゃな」
「攻める」
今度の言葉は一言だった。
「九州をな」
「そうするのう」
「これまで九州の目立った動きはなかったが」
「琉球攻めにかなり時間がかかったみたいや」
今度は耕平が話した。
「国力も使ってな」
「だからか」
「こっちまでな」
どうにもというのだ。
「攻める余裕はなかったらしいな」
「警戒していたがな」
「まずはよかったな」
「全くだ、ではな」
「これからやな」
「俺達が攻める」
英雄は強い声で言った。
「そうする」
「ほなな」
「そしてだ」
英雄はさらに言った。
「九州もだ」
「わい等の勢力圏にするな」
「そうする、九州の兵は六万か」
「併呑した琉球の兵も入れてな」
「それ位か」
「そうや、兵の数はこっちよりも少ないが」
「これまで戦ってきた敵で一番多いな」
「そうした相手やで」
「そのこともわかった」
英雄の返事は冷静なものだった。
「こちらは十六万の兵を以てだ」
「攻めるな」
「萩かなら、しかし」
ここで英雄はこうも言った。
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