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魔法少⼥リリカルなのは UnlimitedStrikers

作者:kyonsi
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Duel:26 頑張ってくださいよ。おねえさん?

――side響――

 ……訓練生時代、その後の退学騒ぎからの艦長に拾われての3ヶ月の短期訓練の時、一番体を動かしてた時期でもあったから割と食事を取ってたんだけど。
 
「凄いわー……」

 目の前でカレーの雪化粧された、米の富士山がガリガリ削れていくのは圧巻。
 
 しかもそれが7つとか言う凄まじさよ。
 デカイ方のギンガとスバルが食べるのは分かりきってたことだけど、それに負けないチビ5人の食べっぷりよ。
 
「……あんまり食べないこちらがおかしいのかな?」

「……全然普通だと思う。うちの姉妹は良く食べるからな。姉も……あまり食べないから背が伸びないのか」

「や、そんな事無いよ。これからよ、多分」 

 隣に普通の量を食べるチンクが座ってるお陰で、とりあえず普通を保っているけど。
 なかなか自信がなくなる光景よこれ? 男状態……ちがう、普通の状態ならそれなりに食べる方だと思ってたけど、六課来てからそんなに食べてなかったんだなと思うように。

 強いて言えば、絶好調なギンガの食欲に対して……若干遅れてるスバルが気にかかるけど。

「おかーさんおかわりー!」

「はい、私も!」

「はいはい、チョット待ってね」

 小さいギンガと、ディエチ明らかに体よりも体積大きいのにお替りするってすげーな。
 ……奥に寸動鍋が2つ見えたのはノーコメントで行くけど。
 
 そー言えば、隣に行ったはなは大丈夫なのかね?

 現状の念話の範囲が本当狭いから様子を伺うことも出来ないし。向こうからの連絡にも対応できないけど、ギンガ達が何も動いてないから連絡はなさそうだ。
 色々心配することはあるけどね。震離達の家に行ったフェイトに、高町家に行った奏。
 大丈夫だと思うけど、奏は高町家に目をつけられてないかな? 震離とフェイトは仲良く出来てるのかなと色々気にかかる。
 震離ってかなりの人見知りだからなー……どーだろうなー……でもなー、数年経過してるし、流と一緒に居たお陰で大分柔らかくなってるけど。どーだろうか?
 
「あら? 響はもういいの? まだあるわよ?」

「え? あー……」

 山盛り1皿食べ終わったあたりで、クイントさんに声を掛けられたけれど。
 
「母上母上? 多分響ももう十分かと」 

「すいません。とても美味しかったんですけど。普通にお腹いっぱいです」

 この体だと結構ギリギリでした。米もルーも、ゴロゴロ具材も美味しいけども。いかんせん量が!
 
「そう……あ、またお腹が空いたら言ってね? 明日の晩までは取っておくから」

「わかりました。明日はアレンジを?」

「えぇ。明日はカレーうどんよ」

「それはまた、いいですね」

 うどんにすると聞いた瞬間チビ達の喝采が。カレーした後うどんにするのは定番だよね。
 
 それにしてもナカジマ家っていい感じでバランスが取れてるよなー。上三人が落ち着いてるのに対して、下三人はのびのびと各々好きにしてるし。
 隣には親戚のお姉さん達が居るから良い刺激になってるだろうし、今は違う世界の未来のギンガとスバルが居るっていうのもまた良い刺激だ。
 クイクイと裾が引っ張られてそこに視線を向ければ。
 
「響? 先に食べ終わった者同士だ。ちょっとブレイブデュエルの相談に乗ってくれないか?」

 ニッと笑うチンクにつられて、つい笑ってしまう。
 ブレイブデュエルは……まだあんまり分からないけれど、簡単な戦術なら教えられそうだし。
 
「あ、チンク姉ずるいっす!」

「うん。チンク姉と一緒に私も聞きたいな」

「▣✲✾⇔✇〒!」 

「ウェンディもご飯食べたらちゃんと教えてもらえるし、ディエチも教えてもらえるし、スバルは食べ終わってから喋りなさい」

 クイントさんが小さいスバルを注意すれば、大きいほうの顔が赤くなる辺り、昔そういうことがあったのかなーと考えてみたり。
 ノーヴェは、大きいスバルに色々教わってるけど、やっぱり系統が似てるからなんだろうね。小さいギンガは大きいギンガにそのまま聞いて、質の高い教えを受けているのは流石だな。

 ここにティアが居たら……いや、方向性が割と違うから駄目か?
 
 こちらの世界のティアナはなんであの方向性になったんだろうな? 幻術も使うけれど、ティアに比べれば大分控えめだし。
 
 ……よし。
 
「そう言えば、ティアナって幻術……分身っぽい事とかって出来ないの?」

 大きい方のスバルが一瞬考えるけど、自分じゃないのを察してすぐにカレーに視線を戻して、小さい方が急いで食べそうになるのを宥めながら、その回答を待っていると。
 
「んーっとね。ティアも出来るけど、お兄さんの方が上手い!」

「へー……お兄さん。ん? お兄さん?」

 ……え?
 
 すぐに視線をスバルに向ければ、驚いたように目を丸くしてる。
 なんとか情報を、とか思ってると。
 
(響、小さなスバルの言うお兄さんって、文字通りティアナのお兄さん。ティーダ・ランスターさんの事だと思うよ。
 居るかも知れないと思ってたけど、実際に居るって聞いてちょっと驚いちゃった)
 
 そうだよね。これだけ遠くへ行った人がここには居るのに、居ないってことは無いよな。
 すぐになんてこと無いように意識を戻して、
 
「ちなみにどんなタイプ?」

「ティアとは違って幻術で分身作って、かく……かく……あ、学ランするよ!」

「「撹乱ね」」

 スバルの言い間違いに即座に対応するギンガとディエチが微笑ましい。

「あと、兄ちゃんが狙撃してくる」

 ……ん?
 
「「「兄ちゃん?」」」 

 今度は俺とギンガとスバルの声が被った。
 この子らが兄ちゃんと呼ぶ人って。
 
「ティーダさんと同学年のヴァイスさん。FPSでも一緒に組んでたみたいで、コンビプレーは凄く強いですよ」

 代わりに小さいギンガがカレーのおかわりを注いで来ながら、説明してくれるけど……いつ食って、いつ立ったの? 気づかなかったんだけど?
 
「あの二人も強いよねぇ。今チームメイト探してるみたいだけど、あの二人の援護がある状態で前衛が居たら怖いもん。ごちそうさまです」

 ディエチも食べ終わったらしく食器を片付けてるし、そろそろか。
 
「そしたら始めようか。ちょっとした事しか教えられないけどね」

 纏めておいた食器を持って流しへ向かって水につけて。
 
「さ、何か教えられることがあるなら」

 こういう時間はいいものだなって。
 
 
――sideフェイト―― 
 
 流が気を使ってくれたらしく、私と震離の二人きりにしてくれた。
 色々何かあると身構えてたんだけど。
 
 ――フェイトさんってレモンって大丈夫ですかー?

 ――う、うん。平気だよ。
 
 ――良かった。レモン系の炭酸とビール混ぜたパナシェってやつなんですけど……あ、駄目だったらカルピスもあるんでー。
 
 ――あ、ありがと。
 
 あれよあれよと言う間に、リビングの机の上に飲み物と流が作ったであろうおつまみとか、色々なものが用意されて。
 
「さ、何からお話しましょっか?」

 優しそうに笑う震離の顔が印象的だった。
 
 ――――
  
「……いーじゃないですかー……まだ慣れてないんですから、そういうひょーじょー見れますよー」

 んー……そのとおりだけど。
 
「や、でもさ。流石にそういうのは……合意もなしでするのはどーかなーって」

「押せば勝手にながれるから実質合意は取ってるし。受け身……どっちかって言うとリードされると弱いし、好きな人同士だし、親しい相手には基本弱い響なんだから勝手になんとかなりますよー」

 グビグビとお酒をあおりながら顔を真っ赤にしてる。多分私も顔が赤いんだろうなと思うけれど。
 
「や、流石に……ちゃんと雰囲気とかさ、ね?」

「この前湯あたりしてるのを襲った人が何を今更」

「うっ」

 それを言われると返せないけれど、でも!
 
「……顔赤くして息が荒いなんて、ちょっと……我慢できなかったし。震離だって、そうなったら我慢できないでしょ?」

「……理解はします、あー……でもフェイトさんの場合、経験値浅いロリった響ですもんねぇ……無理だけど耐えるのが大人でしょう?」

「り、理不尽な」 

「別に普通の20歳ならともかく、成人で執務官ですもん。理性は普通に保って下さいよ」

「理不尽な!」
 
 し、震離が冷たい……笑ってるから本気ではないというのが分かるけれど。

 不意に笑ってしまうと、震離も笑ってくれて。
 だけど、グラスの縁をなぞりながら何処か悲しそうに、
 
「……きっと私は元の世界じゃ、こんなふうにフェイトさんと話せないだろうなぁ」

「……そんな事ないよ」 

 突然の言葉に驚くけれど、すぐに言葉を返す。
 しかしなんでまたそんな事を言うんだろう?
 
「そんな事ありますよー。だって、ここまで話が合うのは……貴女が響を選んで、響も貴女を心から好いたからですもん」

「……え、あ、や」

 改めて言われるとやっぱり照れる。顔が熱く、赤くなってるのが自覚できるから困る。けれど、
 
「大体少し考えれば分かることですよ。私の世界ではフェイトさんではなく、奏とゴールした以上、私からすればフェイトさんは親しい上官ですし、仲良くなってもここまでぶっちゃけた話は出来ないですもん」

「そんな事……」

 無い、とは言えなかった。
 たしかにそうだ。私が響以外で接点があるのは奏だけで、他の面々とは隊員としての接点はあるけれど、なのは達と比べれば接点は少ない。 
 それはきっと、平行世界でも同じなんだろう……そうだとしても、接点が少ないのがここまで影響するなんて……。
 
「ま、それはそれとして。ここまで話があう人は滅多に居ないので。この繋がりは大切にしたいです」

「それは……うん。私もだ」
 
「共通点が好きな人が女の子(笑)に成れるっていうのもどうかと思いますが可愛いから問題ないですし」

「確かに。不思議な感覚だよね。なんだろ、前よりもっと震離が近く感じるよ」

「だって歳だけ言えば、もうフェイトさん追い抜いてますし。落ち着きもしますよ」
 
 ……ん?
 
「あ、そっか。数年経過してるって言ってたっけ?」

「見た目はあまり変えてない……というか変わらないので、気持ちは若いほうだと思うんですけどね」 
 
 こ、こういうところでも接点が少なかったのが影響してるのが辛い……!
 
「ま、フェイトさんが……明確に変わったって思うのは。また逢えたら分かるんじゃないんですか? 頑張ってくださいよお義姉さん(・・・・・)?」
 
「……うぅ」 
 
 ……とっても難しい義妹が出来たなって。
 
 
  
 

 
後書き
 意図的にフェイトさんと震離の会話は削っております。
 震離と響の関係等を書いていましたので……。
 
 さて、一週間ほど離れてしまい申し訳ございません。
 家が住める状態じゃないなら、短期研修行ってこいという無茶ぶりの元、更新どころではございませんでした。
 言い訳がましいですが、本当に申し訳ございません。

 相変わらず短い投稿ですが楽しんでいただけたのなら幸いです。

 長いだけの文かもしれませんが、楽しんで頂けたのなら幸いです。ここまでお付き合いいただき、感謝いたします。
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