曇天に哭く修羅
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第一部
歩幅
前書き
(´- `*)
「そろそろ筋トレに行くか」
《江神春斗》と《クリス・ネバーエンド》の遣り取りを見ていた《立華紫闇/たちばなしあん》が移動しようとした時。
「ぶへぇ~……ぶ、ぶへぇ~……」
(あれは確か)
紫闇と同じ三軍。
小学生に見える身長。
モジャモジャ頭が特徴的だ。
《佐々木青獅/ささきあおし》
泡を噴いている。
(凄いな)
何故走れるのか。
意識が有るのかすら怪しい。
「でも30周くらいであれじゃあ」
二軍は無理だろう。
こうして紫闇は一日目の訓練を体育館外周のマラソンと筋トレで終えた。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
翌朝、紫闇は幼馴染みの《的場聖持》と二人でトレーニングに励む。
もう8年はしてきただろうか。
「よく続くな」
「体力は付いたぞ」
紫闇は《朱衝義人》に憧れてから勉強も運動も頑張って努力し少しでも近付けるよう頑張ってきたつもりだ。
報われることが無かったにも関わらず、よく諦めなかったと自分で思う。
そんなことを考えながら紫闇は[魔晄防壁]を展開すると、拳に向かって【魔晄】を集める為にイメージする。
拳の魔晄が金色に光る不思議な現象が起こったがこれは何時ものことなので良し。
「紫闇の【魔晄外装/まこうがいそう】は規格外だから【異能】が宿ってるわけでもないだろうしどうなってるのかね?」
「たぶん魔晄を込めたパンチになるんだろうけど威力が普通より上がるんじゃない?」
【魔術師】の異能が無い紫闇は手段を選ばず強くならねば他人に追い付けないだろう。
その為にも異能に頼らない基礎能力の高さとなる土台作りに時間を惜しまないのだ。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
紫闇が拳を突き出す。
「拳の集中させた魔晄の光がちょっとした爆発みたいなのを起こすのか」
聖持の目からは紫闇の力が未完成なのが見てとれたが敢えて黙っておく。
「コイツをぶつければ並みの奴なら一撃だろ。江神やクリスはまだ無理だが」
紫闇の目が聖持を捉える。
「お前とエンドは二人を超えた後だ」
「【龍帝学園】に来たのは紫闇やエンドが居るからで別に魔術師として成り上がろうって考えてないんだよなあ俺。大会に出る気が無いし【天覧武踊】にも興味が無い」
「強さへの欲求が有って実際に滅茶苦茶強いってのに勿体無いよなあ聖持」
聖持が上を目指せばかなり上のレベルまで行けるだろうと紫闇は思っている。
彼をクリスや春斗より評価してきた。
紫闇は才能が無いながらも聖持やエンドと一緒に今まで魔術師への道を歩んできたのだ。
同じ歩幅に合わせてもらいながら。
彼等が紫闇と鍛える以外のところで修業しているのは知っているが、もしも二人に置いていかれたのなら自分は耐えられないだろう。
(だからせめて、クリス・ネバーエンドには追い付かないと。出来るだけ早く)
彼等の好意に甘えるだけなのはもう嫌だ。
紫闇は自分を信じてくれる幼馴染みの期待に応えようと必死に藻掻いていた。
後書き
(?_?)
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