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レーヴァティン

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第百二十七話 統治の仕組みその六

「極端な悪人が少ない」
「そうっちゃな」
「平清盛公もな」
 平家物語では傲慢かつ暴虐と大逆を極め最後は無間地獄に落ちるとされている様な悪人として書かれている。
「実はだ」
「あの人いい人っちゃよ」
「家臣どころか身分の低い者にも優しくな」
「一族を大事にしたっちゃ」
「あれで案外情の深い人だった」
「そうだったちゃよ」
「源頼朝公と正反対にな」
 英雄は清盛のライバルの話もした。
「そうした人だった」
「むしろ頼朝公の方がっちゃ」
「酷いな」
「敵は皆殺しっちゃ」
「自分を脅かすとみなしてもな」
「やっぱり殺すっちゃ」
「冷酷非情だったかというと」
 清盛はそうではなかったが、というのだ。
「やはりな」
「そう思えるっちゃな」
「あの御仁の方がな」
「うちもそう思うっちゃ」
「だがその頼朝公もな」
「極悪人かというと」
「そこまではいかないであろう」
 例えよく言われる冷酷非情な人物としてもというのだ。
「やはり」
「そうっちゃな」
「男もそうでな」
「女もっちゃな」
「極端な悪人はな」
 日本ではというのだ。
「そうはいないな」
「小悪党はいるっちゃがな」
「それは何処でもいるがその小悪党もだ」
「権力の座に就いて害毒を多く垂れ流したこともな」
「ないっちゃな」
「いるとすれば鳥居位か」
 江戸時代後期に目付や奉行の地位にあった者だ、とかく歪んだ人物であり多くの悪を為してきたと言われている。
「そして今のマスコミだな」
「マスコミは碌な奴がいないっちゃからな」
「その周りの学者だののコメンテーターもな」
 テレビや新聞に出て来るそうした連中はというのだ。
「権力の座に就いて多くの害毒を垂れ流している」
「小悪党供がっちゃな」
「小悪党程卑しい悪事を繰り返す」
 英雄はこうも言った。
「醜いな」
「そうした奴が日本には多いっちゃか」
「外道がな、だが小悪党はな」
「所詮小悪党っちゃな」
「潰せる、日野富子もそう言うとな」
「小悪党っちゃか」
「今そうも思ったがそれならだ」
 英雄は留美に話した。
「俺は小悪党になるつもりはない」
「毛頭っちゃな」
「そうだ、下らない奴になるつもりはな」
 下らない奴がそのまま小悪党であることは言うまでもなかった。
「ない」
「だから政もっちゃな」
「俺の財なぞどうでもいい」
 一切、そうした言葉だった。
「この浮島を統一し領地はだ」
「豊かにするっちゃな」
「そして海の魔神も倒す」
「日野富子より遥かに大きなものを見ているでござるな」 
 智がここまで聞いて言ってきた。
「まさに」
「むしろな、あの女の方がな」
「大局を見ていないでござるか」
「大局を見る場でな」
 将軍の正室、その座にあってというのだ。 
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