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ヘタリア大帝国

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TURN22 各国の会議その三

「で、今回もだよ」
「マダガスカルから来たんだな」
「いい島だぜ。暑くてな」
 フランスはこの自嘲めかした皮肉を言葉に出してみせた。
「もう冬が来たっていうのもわからない具合だぜ」
「それはまた凄いな」
「おい、それは御前のとこでもだろ」
 フランスはイギリスにすぐに返した。
「ベトナムとか四国とかはそうだろ」
「ああ、マレーとかか」
「その辺りはかなり暑いだろ」
「まあな。特にベトナムなんて雨ばかりでな」
「あそこそんなに雨多いのかよ」
「多いなんてものじゃねえよ。特に現地の娘提督にしてるんだけれどな」
 ここでだ。イギリスはこんな話をはじめた。
「その娘がいるところは雨が降るんだよ、絶対にな」
「すげえ雨女なのか?」
「それがな。おかしいんだよ」
 急にだ。イギリスは腕を組んで深刻に考える顔になって言い出した。
「普通な。船の中とか雨降らねえよな」
「水漏りじゃねえよな」
「ああ、それじゃなくてな」
「本当に船の中で雨が降るのかよ」
「そうなんだよ。おかしいだろ」
「怪奇現象かよ、それ」
「ベトナムに聞いてもわからないって言うしな」
 エイリスの植民地の国の一つだ。エイリスには多くの植民地があり他にも多くの国が存在している。ベトナムは東南アジアのエイリスの植民地の一つだ。
「とにかくおかしいんだよ」
「またそりゃ訳のわからねえ話だな」
「ああ。あとベトナムの辺りも最近な」
「まだ何かあるのかよ」
「あれなんだよ。あっちに送ってる総督がな」
 エイリスは統治として植民地に総督を送って治めさせているのだ。この総督はかなりの権限を持っており実質的にその植民地の元首ともなっている。
 その上に女王がいて統治しているのだ。完全な間接統治だ。
「どうもなあ。おかしな奴でな」
「汚職とかしてるんだな」
「そうだよ。困ってるんだよ」
 イギリスの顔は頭を抱えんばかりになってきていた。
「マレーとかな。インドの辺りもな」
「まともな総督に交代したらどうだよ」
「それどころか統治の全面的な刷新な。今の陛下も考えておられたんだけれどな」
 だがそれでもだというのだった。
「今の戦争になってな」
「ああ、その戦争のお陰で俺なんかな」
「また随分あっさりと負けたな、手前はよ」
「あんなのありかよ。姿の見えない敵だぞ」
「あれの正体も今調べてるところだよ」
「早く解明してくれよ。このままだとドクツにやられっぱなしだろ」
 こう話すのだった。そしてだ。
 イギリスとフランスは彼等の話が終わったところで今部屋にいる太平洋の二人に顔を向けた。見れば彼等は空いている二つの席のうちの一つを見ていた。
 その二人にだ。イギリスが声をかけた。
「おい、その席はな」
「知っているさ、ロシアの席だな」
「あいつが座る席あるな」
「そうだよ。けれど今回はな」
 今回の席はどうかというのだ。
「普通の席だからな」
「何だ、あの呪いの席じゃないのか」
「少しがっかりしたあるぞ」
「いや、あいつにはあの椅子の呪いも効かないからな」
 イギリスは二人に残念そうに答えた。
「俺としちゃ効いて欲しかったんだけれどな」
「できればドクツに負けて欲しいぞ」
「同感ある」
「それが同盟国への言葉か?」
 フランスも二人の言葉には少し引いた。
「まあな。俺はいいとしてな」
「僕は共有主義も大嫌いだぞ」
「同じあるぞ」
「だよな。共有主義なあ」
「あれ一体何なんだ?」
 イギリスはフランスにその共有主義に対して尋ねた。
 
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