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ジンニーヤの灯り

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第二章

「ここに来る途中で急によ」
「お家に忘れものをしたのよね」
 マニージャは友人に笑って返した。
「私が言って」
「先にここにいてねってね」
「言われてよね」
「ここに来たら」
「私が待っていたのね」
「もう忘れものは取って来たかしら」
 ファランギースは面白そうに笑ってだった、マニージャに尋ねた。その手には水を汲む水瓶がある。
「それで」
「急いで取って来たわ。あんたはどうかしら」
「私もよ」
 ファランギースは笑ってマニージャに答えた。
「取って来たわ」
「それは何よりね、じゃあ明け方だから」
「お月様が見えるけれどね」
「ええ、水汲みをしましょう」
「折角だから」
 こう話してだ、そうしてだった。
 二人は水を汲んだそうしつつこんな話をした。
「ジンニーヤに聞かれていたみたいね」
「何時の間にか」
「それで私達が明け方起きられないって思って」
「今起こしたのね」
「真夜中にね」
「あえてね」
「そうされると」
 これがと言うのだった。
「お節介だけれど」
「それでもね」
「水汲めたから」
「込まないで」
「それならそれでね」
「いいわよね」
 こんなことを話してだ、二人は水を汲んでいきそれが終わってからだった。こう二人で話した。
「何はともあれ感謝しましょう」
「ジンニーヤにね」
「起こしてくれてすいている時に水汲みさせてくれたから」
「このことは素直に感謝しましょう」
「彼女を私達のところに導いてくれたアッラーにも」
「アッラーの偉大さにも」
 二人で話して家を後にした、そしてその日は水汲みの仕事をせずに済んだこともアッラーに感謝した。イスラムに伝わる昔話の二つである。


ジンニーヤの灯り   完


                 2019・9・4 
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