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ヘタリア大帝国

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TURN21 富嶽その八

「考えるべきでもない。無理だ」
「そうですか。やはり」
「大怪獣のこともだ。倒せるならともかくだ」
「ともかく?」
「扱いきれるものではない」
 柴神は言葉を選びながら日本とエルミーに話す。
「だからとてもだ」
「富嶽を。大怪獣を扱うことはですか」
「できない」  
 柴神はその強張った顔で述べた。
「そう思ってくれ」
「わかりました。では」
「富嶽については私も考えている」
 柴神は強張った顔で述べていく。表情もそうなっていた。
「倒せるならばな」
「それならばですか」
「その時は」
「倒すべきだが。人はそこまでの力を手に入れれば」
 どうなるかというのだ。
「その時はまさか」
「?どうされたのですか?」
 日本は柴神の言葉に只ならぬものを感じて問い返した。
「一体」
「いや、何でもない」
 柴神は咄嗟に言い繕った。誰にも気付かれない様にして。
「ではだ。何はともあれ儀式は終わった」
「はい、それでは」
「帝は疲れている。休ませよう」
「御食事の用意はできています」
 秋山は既にその手配もしていた。
「そしてベッドの用意も」
「すいません、秋山さん」
「いえ、当然のことをしたまでです」
 秋山は謙遜してその帝に答える。祭壇から下りた帝には確かに疲労の色があった。その持っている力を使いそのうえでの疲労の様だった。
 その帝にだ。秋山は言うのだった。
「では後はゆっくりとお休み下さい」
「はい、では言葉に甘えまして」
 こうしてだ。帝は休息に入った。儀式はこれで終わった。
 日本帝国にとってのもう一つの戦いが終わった。しかしだった。
 ここでだ。エルミーは長門の艦橋を降りてからだ。東郷と日本にこう話した。彼等は今は食堂にいる。そこにいながら食事を摂りながら話していた。
「帝は凄い方ですね」
「富嶽を追い払ったことか」
「はい、あの様な力を持たれているとは」
「それがあの方にとって幸せかどうかはな」 
 東郷はふとだ。遠い目になってエルミーのその言葉に返した。
 彼等は今はコーヒーを飲んでいる。そのうえでの言葉だった。
「それはな」
「別だというのですか」
「ああ、もう見たからわかると思うがな」
 東郷はエルミーに対して話していく。
「富嶽を追い払うにはかなりの力を使う」
「そうですね。それは私にもわかります」
「その力の消耗が続くとな」
「帝御自身にもですか」
「あまりよくはない」
 こう言うのだった。
「だからな。できればな」
「富嶽は追い払うだけではいけませんね」
 日本もここで言った。
「何とかしたいですが」
「祖国さんは富嶽をどうするべきだと思ってるんだ?」
「不可能でしょうが」
 それでもだとだ。日本は向かい側にエルミーと並んで座っている東郷に述べた。
「倒すべきかと」
「そうだな。あのまま放置しておいてもな」
「同じことの繰り返しですね」
「我が国はこれまで富嶽を追い払うだけだった」
 もっと言えばそれしかできなかったのだ。
「だからだ。そろそろな」
「富嶽を倒すべきですか」
「とはいってもあいつは強過ぎる」
 東郷もだ。富嶽の強さはよくわかっていた。 
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