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占術師速水丈太郎  死の神父

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第十八章

 聖堂の中を歩いていき神父を探した、そうして聖堂の中の礼拝堂朽ちかけているがそれでも往時の面影を見せる見事なステンドガラスに黄金の祭壇、整えられた席、十字架の主がある。その主の真下礼拝堂で祭司がいるべき場所にだった。
 神父がいた、神父はぞっとする様な闇の笑みを浮かべそうしてそこに立っていた、そのうえで速水達に言ってきた。
「ようこそ」
「招待されていないですが参上しました」
 速水は神父ににこりともせず言葉を返した。
「宜しいですね」
「無論、来る者は拒まず」
 神父は闇の笑みのまま速水に応えた。
「それが神の御教えですから」
「神ですか」
「はい、我が神です」
 神父は速水にまた応えた。
「その御教えはです」
「来る者は拒まずですか」
「ですが捧げる魂は選びます」
 そちらはというのだ。
「常に。そして今宵はです」
「私達がですね」
「捧げる魂となります」
「そうですか、では私達はです」
 速水はまずは身体は身構えていなかった、だが。
 心は既に身構えていた、心の中で既に力を放つ用意をしつつ神父にさらに話した。
「人の命を弄ぶ魔道に堕した輩を地獄に送りましょう」
「それが私だというのですね」
「その通りです。容赦はしません」
「でははじまるわ」
 沙耶香が最初に力を見せた、右手を顔の前に指を曲げた掌を上に掲げそうしてだった。
 その掌の上に青白く輝く雷球を出した、そして速水も。
 右手に数枚の小アルカナのタロットカードを出した、彼はそのカードを手裏剣を投げる様に神父に向かって放った。それを合図としてだった。
 最後の戦いがはじまった、沙耶香も雷球を放ったが神父はタロットカードも雷球も両方己の前に闇の壁の障壁を出してだった。
 防いだ、それからすぐにだった。
 その背中から無数の闇の手を出してきた、それで速水と紗耶香に襲い掛かる。二人はその手をそれぞれ左右に跳びかわし。
 着地と同時に再びカードと雷球をそれぞれ放った、すると闇の手達は今度は。
 速水のカードと沙耶香の雷球の両方を掴み取り消し去る、そして神父はその手達の動きを見て言うのだった。
「主の手は偉大です」
「見事な手ですね」
 速水は神父のその手に後光闇のそれだがその様に存在し蠢く手達を見つつ言った。
「これは手強いです」
「私の切り札です、そしてです」
「切り札だからですね」
「貴方達もその手によって敗れます」
 そうなるというのだ。
「これより」
「確かに。油断すれば」
 そうなればとだ。速水はにこりともせず応えた。
「私達も敗れますね」
「そうね、やはり一筋縄ではいかないわね」
 沙耶香もこう述べた。
「この度は」
「全くです、では」
「私達も切り札を出す必要があるわね」
「はい」
 速水は今度は紗耶香に応えた。
「その時が来ました」
「それではね」
「今より」
「私達の切り札を出しましょう」
 この言葉と共にだった、まずは沙耶香がだった。
 その目、これまで黒かったその目を赤くさせた。そうして速水も。
 これまで顔の左半分の殆ど、特に目の辺りを覆っていた髪の毛が上に上がった。それと共に左目が見えたが。 
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