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占術師速水丈太郎  死の神父

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第十三章

「感じていたわ」
「左様ですか」
「随分と濁った邪な気を放っていたから」
 それが為にというのだ。
「よくわかったわ」
「そうでしたか、ですが」
「これで終わりではないわね」
「私もこれからです」
 まさにと言うのだった。
「まだまだです」
「そうね、けれど私がいて」
「助太刀感謝します」
 速水も言ってきた、そしてだった。 
 タロットのカードを出して身構える、そうして言うのだった。
「ここはです」
「二人でね」
「戦いそして」
「仕事を終わらせましょう」
 悠然として言ってだ、紗耶香と速水は動きを合わせ。
 姿を現した神父に向かおうとした、神父も退く気配はなかったが。
 突如として姿を現した何かにだ、こう言われた。
「ここはです」
「下がってですか」
「はい、流石にあの二人が相手では」
 速水と紗耶香がというのだ。
「分が悪いので」
「今は下がり」
「やがて二人は攻めてきます」
 こう神父に言うのだった。
「ですから」
「迎え撃ってですね」
「倒しましょう。その際は私もいますので」
「共にですね」
「はい、戦いましょう」
「それがいいですね」
 神父はその何かの言葉に頷いた、そうしてだった。
 何かが姿を消すと速水にだ、余裕の観られる笑みで告げた。
「ここは退散させて頂きます」
「それが出来ると思われますか」
「はい、私は移動も得意でして」
「そちらの魔術も」
「それこそすぐにです」
「立ち去れると」
「私の聖なる場所まで。では」
 ここまで言ってだった、神父は実際にその姿を自分の周りに出した黒い霧と共に消した。そうしてだった。
 後には速水と沙耶香そして司祭だけが残った、司祭はカードの力から出てすぐに速水のところに来て彼に尋ねた。
「あの」
「神父は、ですね」
「何処に逃れたのでしょうか」
「逃れた先は一つしかありません」
 速水は司祭に微笑んで答えた。
「それこそ」
「そういえば聖なる場所と言っていました」
「そちらです、彼の聖なる場所といえば」
「まさか」
 司祭は速水の言葉にはっとした、そしてだった。
 彼がこれまで邪な儀式を行ってきている聖堂を見た、聖堂は闇夜の中に本来は神聖な筈だが今では邪悪な空気に包まれたその姿を浮かび上がらせていた。
 その聖堂を見つつだ、司祭は速水に言った。
「あの聖堂にですか」
「彼は逃れてです」
「そうしてですね」
「私達を待ち受けています」
「そこで再戦となりますか」
「はい、ですが」 
 それでもとだ、速水は司祭に言うのだった。
「今すぐに聖堂に乗り込んでもです」
「危険ですか」
「敵の城です」
「つまり地の利はあちらにある」
「ですから今の戦いに疲れがありまた焦りもあるでしょうか」
「ありますか」
「はい」
 ここでだ、速水はカードを引いた、それは塔だった。 
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