DQ3 そして現実へ… (リュカ伝その2)
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バーンの抜け道
<ノルドの洞窟>
日が最も高い位置に登った頃、アルル達はホビットのノルドが住む洞窟に到着した。
今まで探検してきた洞窟とは違い、モンスターも気配が全く無い。
そんな洞窟を奥へと進むアルル達…
かなり奥へ進んだ場所に、小柄で筋肉質な男性が一人、この洞窟内で暮らしている。
質素だが、とても洞窟内とは思えない程、整頓された部屋でくつろいでいる…
「お前さん方…いったい何用かね?私はホビット族のノルド。見ての通り人間ではない…お前さん方に危害を加えるかもしれないぞ…そうなる前に、出て行くが良い!」
静かだが、力強い口調で威圧するノルド…
「あ、あの…私た「僕達しがないメッセンジャー!君はノルドさんですか!」
人外のホビット族を前に緊張しているアルル。
そんなアルルを遮り、リュカが軽い口調で話し出す!
「君に手紙を持って来ました!取り敢えず読んで下さいな!」
ポルトガ王より渡された手紙を、ノルドに押し付けるリュカ…
怪訝そうな表情で手紙を読むノルド…
しかし手紙を読んだ途端、笑顔になる!
「お前さん方はこの手紙を読んだかね?」
「失礼な!人様の恋文を読む程、落ちぶれちゃいない!」
「別に恋文ではない!これはポルトガ王からの手紙だろう?」
「は、はい…そうです!」
ノルドはケラケラ笑いながら、手紙を見せてくれた。
【ノルドんへ コイツ等ちょ~良いヤツだからぁ、バーンの抜け道を教えてあげて。 親愛なる ポ より】
「……………これ……リュカさんが書いたんですか?」
「アルルは時々失礼だな!……僕の字はこんなに汚くない!」
「イヤ…そうじゃなくて、内容の話なんですが!」
「お嬢ちゃん、安心したまえ!その字は間違いなくポルトガ王の字だ…内容もヤツのものだ!」
そう言って楽しそうに手紙を読み直すノルド。
「あの男が信用できると言うのなら、間違いないだろう。では、ハーンの抜け道へ案内しよう…付いて来なさい」
ノルドはアルル達を、洞窟内のある場所へと誘う…
「あのぉ…ポルトガ王とノルドさんって、どういった仲なんですか?」
ノルドの後を追いながら、気になった事を訪ねるハツキ。
「ふむ…ヤツとはな、王位を継ぐ前の若い頃…一緒に連んでヤンチャした仲でな…ヤツの奇抜な行動に、何時も胃を痛めていたものだよ!当時が懐かしいなぁ………」
《それって殆どリュカさんじゃない!!私にも今が懐かしくなる時が来るのかなぁ…?》
「ノルドさんはポルトガ王と仲が良かったんですね!それじゃぁ何でこんな所で暮らしているんですか?ポルトガに行けば、良い暮らしが出来るんじゃ…」
「私はホビット…ヤツが良くても、他の人間が忌み嫌う…ポルトガの為にヤツは王位を継ぐ事になった…その日から私は此処で暮らしている。ヤツの邪魔にならぬ様にな…」
無邪気なハツキの質問は、ノルドの心に悲しみを思い出させてしまった。
「ご、ごめんなさい…私…」
「な~に…気にする事は無い…もう慣れたのでな…」
それでも悲しそうに俯くノルド…
「しかし変な世界だな此処は!僕の居た世界では、エルフも、ホビットも、人間も…みんな仲良く暮らしているのに!僕になんか、人間の奥さん以外に、エルフとホビットの愛人が居るからね!みんな仲良くやっているからね!」
悲しそうなノルドを、励ますかの様に明るく自分の世界の事を話すリュカ…が、内容が…
「何で結婚してるのに、愛人が居るんだよ!」
「バカだなぁウルフ君は!結婚したから愛人が出来たんだろ!結婚してなかったら、みんな恋人だよ!」
「そう言う事じゃねーよ!」
「お前さんは別の世界から来たのかな!?」
「そーなんッスよぉ…向こうで楽しくやってたのに、いきなりこの世界へ放り出されちゃって………あ~…ビアンカに逢いてぇ~!!」
「そうか…戻れると良いな…」
洞窟内の変哲もない岩壁の前にやって来ると、ノルドはアルル達の方へ振り返りにこやかに話し出す。
「此処の岩壁を崩せば『バーンの抜け道』だ!ちょっと待ってなさい!」
そう言うとノルドは、岩壁に向けて肩からタックルを行った!
(ドン!…ドン!!……ドガーン!!!)
「さぁ…遠慮せずに通りなさい。洞窟を出て、南に行くと『バハラタ』だ」
「あ、ありがとうございます!」
アルル達はノルドに深々と頭を下げ、バーンの抜け道へと進んで行く。
新たな土地…新たな冒険を思い、洞窟を突き進む…
<バハラタ地方>
洞窟を抜け平原を歩いていると、アントベアや腐った死体・メタルスライムなど…これまでに戦った事のないモンスターが襲いかかって来る!
しかしピラミッドでの度重なる戦闘が、アルル達を大幅に強くした!
ウルフの『ベギラマ』や『メラミ』で敵を弱らせ、ハツキの『ルカナン』で防御力を落とし、アルルとエコナが連携してトドメを刺す!
………因みにリュカは歌っている!
曲目は『Beauty & Stupid』
もはや誰もリュカに突っ込みを入れない。
言うだけ無駄な事は分かっているから…
そんな時だ、不思議な事件が起こったのは…
気持ちよさそうに歌うリュカの後頭部目掛け、天から『愚か者はお前だ!』と言わんばかりに腕輪が落ちてきた!!
(ゴツ!!)
「いってぇぇぇぇ!!何だ!?いったい何だ??」
涙目になりながら頭を押さえるリュカ…
ハツキは落ちてきた腕輪を拾い、不思議そうに空を見上げる。
「大丈夫ですか!?何処から落ちて来たんでしょうね?とても綺麗な腕輪…」
「ほんまや!綺麗な腕輪やね!天からの思し召しかなぁ?」
「ずいぶん痛い思し召しなんだけど………ん?…ちょっと見せてそれ!」
痛みで半べそをかいていたリュカだが、ハツキの持つ腕輪を見て、何やら顔を顰める…
「これ『星降る腕輪』じゃん!何で空から落ちて来たの?」
「リュカさんは、これの事を知ってるんですか?」
「うん。これは『星降る腕輪』と言って、装備者の素早さを上げるアイテムって言われてる…でも僕が装備した時は素早さが上がった気がしなかった!」
「それってリュカさんの素早さが、既にMAXだったからなんじゃ…」
ウルフの突っ込みを無視し、腕輪を眺めるリュカ。
「だからさ…仕事の時に書類が飛ばされない様、ペーパーウェイトとして使ってたんだ!………それが何故ここに?」
「そんな凄いアイテムを、文房具代わりに使ったから、罰が当たったんじゃないですか?」
「おかしいなぁ?…この世界に飛ばされる直前は、確かに机の上に在ったんだけどなぁ?」
アルルの突っ込みも無碍にする。
「ほな、やっぱりリュカはんに意趣返しに追って来たのとちゃう?」
「うん。その腕輪はハツキにあげる!大事にしてね」
リュカに冷たい3人を無視して、ハツキに向き直る。
「ちょ、何でハツキなんや!?ウチには?」
「ハツキだけが僕を心配してくれたからね!ハツキにあげちゃう!」
そう言いながら、ハツキの腕に優しく装着するリュカ。
「くっ!しくじったわぁ~…ウルフとアルルが良い突っ込みを入れるから、ノってしもた!ハツキはずるいわぁ~…指輪も貰って、腕輪も貰う!ウチは何も無しやで!」
一人ふて腐れるエコナを無視して、また歌い出すリュカ。
そして戦闘に巻き込まれる一行!
素早さが倍になったハツキは、敵の懐に入り込み、聖なるナイフで切り裂いて、直ぐさま間合いを空ける戦い方を披露する!
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