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魔法科高校の劣等生の魔法でISキャラ+etcをおちょくる話

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第二百三十九話

ドイツ、国際空港ゲート。

「では先に行ってます、教官」

クラリッサが私服で敬礼をした。

「ああ。二三日で私も日本に戻る。先に行っててくれ」

「はい。わかりました」

千冬がしゃがんで、ラウラの頭を帽子越しに撫でる。

「うきゅっ……」

「私が帰るまでの間は思い切り、お前の兄に甘えるといい。
円香達はは聡い子だ。それくらい、許してくれるさ」

「はい、姉様」

千冬は立ち上がると、二人を見送った。

その後無言で踵を返し、空港を後にする。

「アリス、束に繋げ」

『はいはーい』

千冬の視界の端に【CALL>>>TABANE】と書かれたウィンドウが開く。

『あれあれ? ちーちゃん? どうしたの?』

「ああ。すまないがトレイターで来てくれないか?
できれば今直ぐにだ」

『ん? なんかあった? クラリスちゃんとラウラちゃんと一緒に帰ってくるんじゃなかったの?』

「予定変更だ。少し早いがラウラとクラリッサを日本へやる。
ああ、そうだ、できればリムシィを十数機乗せてきてくれ」

『んー……わかった。いっ君は置いてけばいいんだね?』

「アイツにはラウラとクラリッサを出迎えて貰わんと困るからな」










同日深夜。

ドイツの某所。

月もない暗闇の中。

黒々とした木々の下。

「行ってらっしゃい。ちーちゃん」

束が千冬の肩を叩く。

「起動」

<擬装パターン・XXXG-00W0>

千冬の体が物々しくも美しい、漆黒の装甲を纏う。

「顔が剥き出しなんだが……」

現在の千冬は黒いウイングゼロのMS少女だ。

……………………………少女?

閑話休題。

アンテナを模した額当こそあれど顔が剥き出しだ。

「えー……いっ君に言ってよ……」

『フェイスクローズする?』

「頼んだ」

千冬の頭部をヘッドギアが覆い、最後に前面シールドが閉じられた。

バサリ、と背中の漆黒の翼をはためかせてウイングゼロに擬装した白騎士が飛び上がった。

「アリス」

<零システム起動>

カメラと胸部のクリスタルが赤く輝く。

アリスと同期することで、千冬の知覚が人を越える。

オリジナルコアの演算力で導いた未来をパイロットの脳に投影するシステム。

一夏が『アリスを』信頼して組んだシステムだ。

機械の翼をはためかせると、猛烈な加速でゼロが飛び出した。

千冬の視界の下で森が次々と後方に流れていく。

数十秒の亜音速航行の後、ゼロがピタリと静止した。

一見何も無い今までの森と変わらないそこで、千冬が下を向いた。

「…………………………」

<PLEASE MASTER'S PSYON.>

「……………………………」

<UNLOCKED.>

機械の翼、機械の天使。

神々しく、美しい造形。

しかしその姿は破壊の体現である。

骨格に繋がっていた幾百枚もの機械の羽が切り離された。

フワリ、と舞う事はなく。

直線的な動きで落ちていく。

天使の翼は次々と地面に突き刺さる。

その度に、突き刺さった地面には黒い球体が生まれては消える。

直径数メートルの球体が消える度、地面には抉られたような跡ができていく。

ビィー! ビィー! とアラームが響く。

アラームに構わず、千冬は次々装填されるヴォイドウィングを地上に叩きつける。

タナトニウムの崩壊によって起こる重力崩壊に巻き込まれ、削られていく地表。

やがて地表を、否、施設の天井を貫通した。

円形にあいた穴を通って千冬が地下施設に侵入する。

数メートルの岩盤と装甲と建材を通り抜けた千冬を待っていたのはマシンガンの勢射だった。

前後左右からの弾丸がエネルギーシールドに弾かれる。

それがわかっていたのか、千冬が施設の床に足をつけて十数秒で弾幕が止んだ。

煙が晴れ、辺りの様子が見えるようになる。

コンクリートの柱が幾本も並び、奥には大型のエレベーターが見える。

見たところ搬入口といった所だろう。

「何者だ!」

「………………………」

その問に答える事なく、千冬は攻撃を開始する。

ただただ突っ立っているだけのような格好だが、その姿は既に攻撃形態である。

パカッと、わざとらしく開かれた肩部装甲。

次の瞬間。

ブォー! という飛行機のエンジンのような音がしたかと思えば、千冬を取り囲んでいた者達の一部が血飛沫と化した。

千冬は肩部マシンキャノンを撃ちながら振り返る。

包囲していた者達を血飛沫に変える。

ただ一回転しただけで、包囲していた者達全員が死んだ。

辺りに血の臭いが立ち込める。

それを気にする様子も無く、再びヴォイドウィングをばらまき、より下層へと降りていく。

一層、また一層と降りていく。

オフィスだったり、よくわからない実験室だったり。

そしてついに、千冬は目的の場所にたどり着いた。

暗く広い、円形のホールのような部屋。

壁に半分うめこまれたように配置された幾本もの巨大で透明なシリンダーの中に少女が浮かんでいる。

皆目を瞑っている。

腰程まで延びている銀髪が溶液のなかでゆらゆらと靡く。

その容姿はラウラに酷似していた。

「七本か……」

少女の数は7。シリンダーの数は30。

空のシリンダー、23。

つまりは、それだけの命が産み出され、世界を知ることもなく消えていったということ。

「……………………束。リムシィを七機頼む」

機械に包まれた拳を握り締めながら、絞るように言葉を紡いだ。

『了解』

漢字二文字の簡潔な返答。

数分と経たず、千冬が開けた大穴から7人の美少女が入ってきた。

薄い緑の髪。

バイザーつきのヘッドギア。

白とピンクの装甲を纏った脚。

同色の背部ユニット。

そして、全て同じ、気味の悪い程に整った顔。

「彼女達をトレイターに連れていってくれ。私は後処理をする」

「「「「「「「畏まりました」」」」」」」

リムシィ達は各機シリンダーの中から少女を取りだし、横抱きにした。

「あぁ………久々だな。これ程に怒りを覚えたのは」

リムシィ質が離脱したのと同時。

千冬が飛び上がった。

施設の上空、先に千冬が開けた大穴の真上。

千冬がバスターライフルを2セット……つまりは4丁量子展開した。

それらを二丁ずつ合体させ、ツインバスターライフルを両手に構える。

四丁のバスターライフル……二丁のツインバスターライフルが同じ方向を向く。

<ドライツバークを展開>

ツインバスターライフルの先端部に三角を描くように追加ユニットが展開される。

「消し飛ばす………!」

<ダブルツインバスターライフル・スタンバイ。外装の関節を固定>

ゼロの関節が固定された。あとは引き金を引くだけ。

千冬がトリガーに指を掛けたと同時。

千冬は心臓の真上に熱を感じた。

ムーバルスーツと装甲の間。

あって無いような隙間から赤い光が溢れる。

一夏が渡した指輪だ。

その暴力的で荒々しい光は、千冬の怒りの可視化。

機体を包み込む赤い光が二丁のツインバスターライフルの銃口の先端に収束する。

「去ね!」

千冬がトリガーを引く。

迸る閃光。

二条の光が大穴に吸い込まれる。

十数秒の照射の後、サイコEカーボンで増幅された威力に耐えきれず、ドライツバークもツインバスターライフルも吹き飛んだ。

それとほぼ時を同じくして、地面が膨らんだ。

一拍置いた後に、撃ち込まれ行き場を無くした莫大なエネルギーが爆発した。

熱と衝撃波が撒き散らされる。

土砂は巻き上げられ、木々は薙ぎ払われ、燃えている。

<SPCSS起動>

「セルベレスタ」

千冬が片手を水平に伸ばしそう唱える。

周囲の炎が収束を始めた。

伸ばした手の先。

そこにあるのは漆黒…否、虚無とも呼べる闇の剣。

光すらも通さず、熱を封じ込める結界魔法。

マグマと化した地面からも熱を奪い、熱量を増していく。

一帯の熱を全て封じ込めた剣。

その剣を、地面へ射出した。

「バースト」

爆心地に刺さった剣が崩壊し、熱が溢れる。

熱は周囲へ伝播し地面を融かしていく。

「次だ」

融解する地面に背を向け。

千冬が翼をはためかせた。
 
 

 
後書き

擬装装甲XXXG-00W0
漆黒のウイングゼロに擬装する装甲。
背部ウイングはフェザービットになっている。これはファンネルミサイルであり内部にはタナトニウムが封入されている。
武装
フェザービット
ツインバスターライフル
メッサーツバーク
肩部マシンキャノン
ビームサーベル
シールド

零システム
ゼロシステムとエピオンシステムを元に作られたシステム。
パイロットとコアの人格をシンクロさせる事で人の知覚速度(範囲)をあげる。
またシンクロにはEXAMの技術も使われている。
倫理リミッターはアリスを信頼して付けられていない。

SPCSS(シンクロナイズ・プリケイティブ・キャスト・サポート・システム)
コアの人格の魔法演算領域をパイロットに同調させることでマルチ・プリケイティブ・キャストを発動させ本来より強力な魔法を発動する。2ndコアにも搭載されている。



セルベレスタ
空間指定熱量移動魔法
指定エリアに周囲の熱を凝縮する魔法。
エリア内は灼熱、エリア外は極寒となる。
インフェルノとの差は、灼熱エリアの方が狭く、その回りを極寒エリアが取り囲む構図になること。
本来は灼熱エリアをブレード状にして使い、ブレードその物は超高温、ブレード周辺は極低温となる。

 
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