オズのキャプテン船長
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第十幕その三
「実は違うんだ」
「そうなんですか」
「脂肪は実は軽いんだ、重いのはね」
「骨と筋肉ですか」
「だから肥満している人よりもね」
脂肪でそうなっている人よりもというのです。
「骨太の人、筋肉質の人の方がだよ」
「重いんですね」
「だからバイキングの人達は」
「重いんだ」
骨太で筋肉質だからだというのです。
「本当にね」
「そうなんですね」
「そしてね」
さらに言う教授でした。
「君達の三倍以上の体重があっていつも鍛えていてね」
「強いんですか」
「物凄く強いよ」
実際にというのです。
「先日会った海賊の人達も強いけれど」
「バイキングの人達もですね」
「強いよ」
実際にというのです。
「本当にね」
「そうですか」
「戦えばね、けれどね」
「ここはオズの国だからですね」
「戦うことはね」
幾ら強くてもというのです。
「ないよ」
「そうなんですね」
「そう、ただその大きさはね」
「今からですね」
「頭に入れておいてね」
「大きくても驚かないことですね」
恵梨香は教授にこう返しました。
「そういうことですね」
「要するにね」
教授は笑顔で言ってでした、そのうえで。
船長が動かす船はバイキングの船に到着しました、すると早速質素な上着とズボンと暖かそうなブーツの逞しい人達が出てきました。
背は男の人達は皆二メートルはあって女の人達も大きいです、金髪や茶色の髪の毛、赤毛の髪の毛で目は青の人が多いですが緑や灰色の目の人もいます。
お肌はとても白く男の人達は皆濃いお鬚を生やしています、恵梨香はその中の金髪で青い目で濃いお鬚のとりわけ逞しい男の人を見てこんなことを言いました。
「バースさんみたい」
「バースって誰?」
トロットが恵梨香に聞き返しました。
「その人は」
「はい、昔阪神にいた人で」
「阪神っていうと」
こう言われてトロットは今度はこう言いました。
「オズの国の大阪の野球チームね」
「はい、外の世界にもありまして」
「その阪神の人なの」
「大活躍した選手なんです」
「そうなのね」
「私が生まれるずっと前の人ですけれど」
それでもとです、恵梨香は目をキラキラとさせて言うのでした。
「阪神を優勝させた素晴らしい人なんです」
「それで恵梨香も知ってるの」
「お父さんもお母さんも大好きで」
恵梨香はさらに言います。
「お祖父ちゃんお祖母ちゃんもです」
「家族皆でなのね」
「バースさんが好きで」
「あの人を見てなのね」
「思い出しました」
「恵梨香が生まれる前だと」
それならとです、船長が言いました。
「恵梨香はその目で現役時代を観ていないね」
「はい」
「それでも好きなんだね」
「そうなんです、バースさんは」
「それは凄いね」
船長は恵梨香のそのお話に驚いて言うのでした。
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