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リトルデイト

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第一章

   リトルデイト
 森崎博美ははじめて彼氏の真壁悠一にデートに誘われた、悠一は四角めの肉付きのいい日に焼けた顔で一緒に高校の食堂で向かい合って昼食を食べつつ誘いをかけたのだ。
「今度の日曜よかったら」
「えっ、日曜って」
「そう、日曜に」
 その時にと博美の明るい感じで大きな黒い目と赤い大きめの唇が目立つ顔を見つつ話した。悠一の背は一七二程で博美は一五七程であるが二人共座っているので背の高さは今は然程ではない。悠一は割かし足が長いのでそれで座高も然程変わっていなかった。
「あの、そのさ」
「デートとか?」
「そう、それに」
 博美に先に言われてしまったと思いつつだ、悠一は答えた。
「どうかな」
「いいの?私デートは」
「俺だってだよ」
 うどんを食べる手を一時中断させてまでだった、悠一はカレーライスを食べる博美に話した。博美もその手は止まっている。
「はじめてだよ、けれど」
「デートね」
「俺達付き合って一月半だよね」
「ええ、そうよね」
 悠一から告白した、博美の靴箱の中にラブレターを入れるという古典的な方法でその日の放課後体育館裏で告白するというやはり古典的な方法であった。
 それで告白してだ、博美も受けたのだ。彼女自身悠一は同じクラスで外見も正確も嫌いではなかった。では断る理由もないし相手も真剣なので受けようと思ったのだ。
 それで告白を受けてそのうえで交際をはじめて一月半、それだけ経てばというのだ。
「それじゃあね」
「これまで登下校の時一緒だったけれど」
「それもデートだけれど」
 一緒に歩いている、それならというのだ。
「それでも」
「登下校の時じゃなくて」
「駅から、駅までのね」
「そういうのじゃなくて」
「本格的な」
「そう、そんなね」
 まさにという言葉でだ、悠一は博美に話した。
「そんなデートしよう」
「今度の日曜日に」
「テーマパーク行って」
 悠一は場所のことも話した。
「どうかな、映画館か」
「映画館がよくない?」
 博美は悠一にこう返した。
「丁度今面白いアニメ上映してるし」
「あっ、この何とかの」
「あれ面白いっていうから」
「テレビのアニメ面白かったな」
「原作の小説も面白いし」
 それでとだ、博美は悠一に話した。
「だからね」
「それであの映画を観に」
「それでデートはどうかしら」
「それじゃあ」
「テーマパークだと若し雨が降ったら」
 日曜日にとだ、博美は悠一にそうしたことも考えて話した。
「困るでしょ」
「それもそうだよな」
「だからね」
「今度の日曜日は」
「映画館に行って」
「それでか」
「喫茶店とか行ってね」 
 そうした場所にも入ってとだ、博美は悠一に笑顔で話した。彼が話を切り出してきたのに自分が主導権を握って話を進めていることに内心苦笑いを浮かべながら・
「楽しもう」
「そうしようか」
「ええ、じゃあ今は」
「あっ、食わないとな」
「早く食べないとおうどんのびるわよ」
「そっちもカレー冷えるよ」
「それじゃあね」
 早く食べようとだ、また博美が主導権を握ってだった。
 昼食を食べた、悠一はうどんだけでなく彼がもう一つ注文していたカツ丼も食べ博美はカレーライスを食べた。 
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