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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十六話 群雄、一同に集うのことその六

「孫策さんは馬を持っておられませんし」
「充分戦えるわよ」
「董卓は騎兵が多いですわ。しかも重装備の」
 それで有名だった。董卓の軍といえばだ」
「それで歩兵は不利ですわ」
「じゃあ私は駄目だっていうのね」
「少し難しいですわね」
 それでだ。彼女は駄目だというのだ。
 孫策の後ろにいる周瑜と陸遜は沈黙している。二人共ここは言うべきではないと考えてだ。見れば今はどの軍師達も何も言わない。
「それは」
「そうなの。それじゃあね」
「ええ。そういうことで」
「美羽もね」
 今度は曹操が話す。やはり彼女と袁紹が話を仕切っている。もう本陣として動いている。
「攻城兵器をかなり持って来てるわよね」
「うむ、そうじゃ」
 その通りだと答える袁術だった。
「七乃が得意としてるからのう」
「そうよ。まさか先陣でいきなり攻城兵器を出す訳にもいかないでしょ」
「邪魔になりますし」
 紀霊がそのことを話した。
「関を攻める前に敵兵に壊されてしまいますね」
「だからね。絶対に駄目よ」
 曹操はこう袁術主従に話すのだった。
「そうですか。では私達は」
「できれば後方にいて」
 曹操は張勲にも話した。
「それで関を攻める時になったら宜しくね」
「うむ、わかったのじゃ」
 袁術もそれで頷くのだった。そしてだ。
 その彼女にだ。曹操はまた話した。
「貴女は糧食や武具の補給を御願いね」
「それもじゃな」
「ええ、ものは許昌と鄴にあるから」
「そこからものを運べばいいのじゃな」
「貴女のところにもあるわね」
「うむ、宛に集めてある」
 袁術もそうしたことはわかっているのだ。
「あと孫策もあるのう」
「建業にね。置いてあるから」
「ではよいな。糧食等は任せておくのじゃ」
 袁術は胸を張って言った。このことはあっさりと決まった。
 しかしだ。肝心の先陣は決まらない。それでなのだった。
 遂にだ。また袁紹が言い出した。
「仕方ありませんわね。ここはやはり」
「だから。駄目だって言ってるじゃない」
 曹操が呆れながら袁紹にまた言う。
「盟主が先陣に出てどうするのよ」
「駄目ですの?やはり」
「当たり前でしょ。何度言わせるのよ」
「うう、では誰が」
 話が決まらなくなっていた。そしてだ。
 孔明と鳳統がだ。劉備の耳元で囁くのだった。
「あの、桃香様」
「宜しいですか?」
「ええと、ここは?」
「はい、桃香様しかいません」
「ですから」
 二人でだ。劉備に先陣のことを囁いていた。
「御自身で名乗りを挙げられれば」
「それで決まります」
「先陣なのね、私達が」
「天下万民の為に」
「戦われるべきです」
「わかったわ。それじゃあ」
 劉備は意を決した顔になって二人の言葉に頷いた。そうしてだった。
 袁紹達にだ。こう言うのだった。
「あの、それでは」
「ええ、劉備さん」
「貴女がなのね」
 袁紹と曹操がそれぞれその劉備に対して応えた。
 そしてだ。劉備もはっきりと言った。
「私が先陣を務めて宜しいでしょうか」
「うう、しかしでしてよ」
「だから貴女は駄目だから」
 まだ未練を見せる袁紹は曹操に止められた。
「いい加減にわかりなさい」
「仕方ありませんわね。それじゃあ」
「妥当なところね」
 孫策がここでこう言った。
「劉備は騎兵も多く持ってるわよね」
「はい、まあ」
「だから適役ね。先陣にはね」
「うむ、そうじゃな」
 袁術も満足している顔で頷く。
 
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