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恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS

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第七十五話 袁紹、軍を挙げるのことその十

「特に美羽様は中身が個性的ですから」
「七乃が言えるのか?」
「私がですか」
「うむ、御主はそもそも中身の名前は幾つあるのじゃ?」
「美羽様より多いでしょうか」
「絶対多いと思うぞ」
 袁術は張勲に顔を向けて述べた。眉を少し顰めさせてだ。
「あと孫策のところにおる呂蒙もじゃな」
「あの娘も結構ですよね」
「凛も結構多いがのう」
「そうですよね。まあそのお話をすると」
 どうかとだ。張勲は笑いながらこのことについても話す。
「結構困ったことになる人もいますけれど」
「孫尚香も甘寧も洒落にならんまで色々出ておるからのう」
「あの人達の中身の名前は少ないですけれどね」
「わらわや七乃や凛よりはのう」
「多い人は本当に多いですから」
「全くじゃ」
 そんな話をしながらだった。袁術達も合流場所に向かうのだった。
 劉備達もだった。彼女は白馬に乗り軍の先頭にいた。その中でだ。
 隣にいる関羽にだ。こう尋ねるのだった。
「あの、合流する場所は」
「まだ先です」
 こう答える関羽だった。当然彼女も馬に乗っている。
「まだ予州にも入っていません」
「そうなのね」
「はい。ただ」
「ただ?」
「馬ですからそれ程時間はかかりません」
 それは大丈夫だというのである。
「焦る必要もありません」
「それならいいけれど」
「むしろです」
 ここで孔明が劉備に話す。彼女は劉備の後ろで椅子の車に乗っている。ただしだ。その車はタムタムに持たれてしまっている。
 そうして吊り下げられながらだ。主に話すのである。
「焦って先に進む方がよくありません」
「そうなのね」
「袁紹さんが真っ先に来られますし」
 その彼女が問題だというのだ。
「下手に先に行けば無用な騒ぎを引き起こしてしまいます」
「何でそれで騒ぎになるのだ?」
 張飛がその孔明に尋ねる。彼女は劉備の横で豚に乗っている。ここでも豚である。
「袁紹より先に着たら問題なのだ」
「各州の牧の人達が集まりますけれど」
 その中でだ。やはり問題になるのはだった。
「袁紹さんが最も勢力が大きいですね」
「無闇と大きいのだ」
「五州を治めておられるその権勢は第一です」
 孔明はそのことを話す。五つの州を治めている袁紹のその力は侮れなかった。
「ですから。盟主となられるのは」
「あいつなのだ」
「はい、それはもう今の時点でほぼ決まっています」
 流石に五州の牧であることは大きかった。それもかなりだ。
「あの方しかいません」
「そのあいつより先に来ればやばいのだ?」
「盟主である袁紹さんが真っ先に来ないと気が済まないと思います」
 孔明は袁紹のそうした性格を完璧に読んでいた。まさにその通りだった。
「ですから。下手に急いで袁紹さんと先に行くとです」
「ううん、問題の多い奴なのだ」
「それが袁紹さんですから」
 だから問題だというのである。
「ここは落ち着いて進軍すべきです」
「わかったのだ。とにかく今はゆっくりなのだ」
「しかし。あの人が盟主かよ」
 馬超はそのことにだ。眉を顰めさせて述べた。
「ちと問題があるような気がするな」
「そうだな。何しろムラッ気のある方だ」
 趙雲もそこを問題視して言う。
「それがどうなるかだな」
「目立ちたがり屋だしな。自分が先陣になるとか言うんじゃねえのか?」
「それは間違いない」
 趙雲はそれを確信していた。まさにだ。
「ましてあの方は自分が前線に出て戦う方だからな」
「盟主が前面に出て戦うのはまずいだろ」
「そこが問題だな。無能ではないがな」
「そうね。それを止めるので一苦労しそうね」
 黄忠もそのことを話す。
「さて、どうなるかしら」
「数はこちらの方が勝っています」
 鳳統は連合軍のその数を話す。
「将帥も揃っていますが」
「なら問題ないんじゃないの?」
 馬岱はそのことに特に危惧を覚えていなかった。
 それでだ。楽観的な感じで鳳統に話すのだった。
「それで」
「普通はそうです」
「袁紹さんがおかしなことしたらまずいっていうの?」
「いえ、相手です」
 鳳統はそちらを問題とするというのだ。
「董卓さんの将帥は物凄い人達が揃っています」
「呂布じゃな」
 厳顔がその名前を出す。顔を曇らせてだ。
「あの者は尋常な強さではないぞ」
「天下無双の強さだというが」
 魏延も呂布のその強さについて話す。
「私なら倒せる」
「いや、あの者の相手は止めておけ」
 厳顔は真剣な顔で魏延に話した。
「あれはまさに化け物じゃ」
「そこまでだというのですか」
「そうじゃ。愛紗達が束にかかっても圧倒されたのじゃぞ」
 その強さは厳顔も知っていた。呂布の武はだ。最早生ける伝説となっていたのだ。
 そう話してだ。厳顔は魏延にさらに話すのだった。
「あの女とは絶対に一人で向かうな」
「ううむ、左様ですか」
「絶対に向かうでない」
 また言う厳顔だった。
「よいな」
「わかりました」
「そしてなのですが」
 鳳統がここでまた話す。
「その呂布さんの他の。異世界から来た方々もです」
「そういえばあっちにもいたな」
 公孫賛が彼等のことを話した。
「あっちの世界の連中もな」
「どなたがいるかが問題です」
「ううん、どうなるか」
 劉備は馬上で首を捻りながら言った。
「わからなくなってきたけれど」
「あっ、心配することはないです」
 徐庶はその心配はないというのだった。
「心配し過ぎてもかえってよくないです」
「だからなのね」
「はい、平常心で行きましょう」
「そうね。それじゃあね」
 劉備は徐庶のその言葉にだ。笑顔で頷くのだった。そうしてだった。
 彼女達も合流場所に向かう。そしてそれでだ。一同が集うのだった。


第七十五話   完


                          2011・4・12
 
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