恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十四話 于吉、裏で蠢くのことその八
「だからだ。その音楽聴くかい?」
「音楽は嫌いではないがのう」
「じゃあいいな。聴くな」
「準備は何時でもできてるわよ」
「すぐにできるからね」
シェルミーとクリスも話す。
「それじゃあ食べ終わったらね」
「演奏と歌、するからね」
「そっちの音楽はよく知らぬがじゃ」
朧はこう前置きして話した。
「しかしそれでも何か楽しそうじゃな」
「ああ、楽しいぜ」
社はまた笑って話した。その表情自体は明るく邪なものはない。少なくとも彼等の考えの中では邪なものは全くない。
「だから聴くな」
「そうさせてもらうぞ」
彼等は打ち解けて和気藹々としていた。そのうえで人間の世界、この世界のそれを滅ぼそうとしていた。そのことも話し合っていたのだ。
その頃だ。華陀はだ。益州にいた。
その山の多い国の中でだ。ギース達と話していた。
「じゃああんた達はな」
「どうすればいいのだ?」
「この国では」
「とりあえず何処かで休んでいてくれ」
そうしてくれとだ。ギースとクラウザーに答えるのだった。
「俺は少し本山に用があってな」
「張魯といったな」
「ゴオオオオオオオッド米道の主だったか」
「ああ、張魯様にこれまでのことをお伝えしないとならない」
そうしなければとだ。真剣な面持ちで話すのだった。
「そしてこれからのこともな」
「相談するか」
「何かと忙しいのだな」
「こう見えても結構忙しい身分なんだ」
華陀はここでは微笑んで二人に話した。
「病の者を救うだけじゃなくこの世界の為にも働いているからな」
「ダーリンって正義の味方なのね」
「まさしく医者王ね」
絶好のタイミングと言えた。
妖怪達がそれぞれ彼の左右に出て来てだ。身体をくねらせて言うのであった。
「世の為人の為」
「悪の野望を打ち砕く」
「金色の輝きを恐れなければ」
「かかって来いなのね」
「ああ、その通りだ」
まさにそうだと答える華陀だった。
「それが俺の考えでやり方だ」
「偉いわ、ダーリン」
「だから好きなのよ」
怪物達は身体をくねらせ続ける。ギース達は流石にそれを見ても平気である。しかし周囲はだ。地震が起き山が崩れていっていた。
その破壊の中でだ。彼等は言うのであった。
「そのダーリンならね」
「きっとこの世界を救えるわ」
「その前に崩壊すると思うがな」
ミスタービッグはその破壊されていく周囲を見て言った。
「これはまずいんじゃないのか?」
「あら、地震かしら」
「世界が私達の美しさに驚いているのね」
あくまこんな考えになる二人だった。
「感動しちゃうわ」
「本当にね」
「だからだ。身体をくねらせるのは止めてくれるか」
獅子王がこう二人に言った。
「さもないとだ。この辺りが本当にだ」
「そうね。私達の美しさのせいで世界が壊れるのも駄目よね」
「それもかえってよくないわね」
「じゃあこうしましょう」
「こうすればいいのよ」
くねらせるリズムを変えた。それだけでだ。
崩壊していっていた世界がビデオの巻き戻しの如くにだった。
元に戻っていく。それで終わるのだった。
それを見届けてからだ。二人は平然として話すのだった。
「これでいいわね」
「万事解決ね」
「世界を崩壊させて元に戻すか」
「完全に人間ではないな」
ギースとクラウザーは言い切った。そのことを確信してだ。
「何処まで異常だ」
「訳がわからない」
こんな話をしてだった。そのうえでだ。
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