恋姫伝説 MARK OF THE FLOWERS
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第七十四話 于吉、裏で蠢くのことその四
それでだ。また言う彼だった。
「じゃあ。僕はこのままね」
「陰にいてそのうえで」
「董卓は人質に取ってるんだ。彼女の勢力は意のままだよ」
「いいのですか?賈駆さんはかなり反抗的ですが」
「反抗的でも僕には絶対に逆らえないよ」
「人質がいるからこそ」
「その通りだよ。最高の切り札だよ」
まさにだ。そうだというのである。
「その切り札がある限りはね。彼女は僕には逆らえないよ」
「そうですか」
「僕が生きているとは知らないにしても」
これはだ。流石に賈駆以外は気付いていなかった。しかしだだった。
「黒幕がいるってことは気付いているみたいだね」
「それも構わないのですね」
「全く。僕がいるということなんて誰にもわからないよ」
だから平気だというのだ。
「後宮の奥深くにいる僕にはね」
「はい、まさに」
「そう。誰も僕には手を出せない」
後宮の奥深くに隠れている彼にはだ。どうしてもというのだ。
そうした話をしてだ。さらにであった。于吉が言うのであった。
「さて、各州の牧達がどう動くかな」
「動きますね」
「そうだね。謀反を起こすね」
「彼女達は彼女達の旗を掲げるでしょうが」
「何、手は幾らでもあるよ」
張譲はここでも平然としている。
「兵もあるしね」
「そうですね。では天下はさらに」
「乱れさせる。そういうことだね」
「はい、そうさせていきます」
于吉は企む笑みで話した。そうしてだった。
張譲の前から姿を消した。その彼が向かう場所は。
闇の中だった。その中に入ってだ。彼等と話すのであった。
「どうだ、張譲は」
「いいことです」
こうだ。左慈に話すのだった。
「完璧に動いてくれます」
「そうか。そこまでか」
「宦官はいいものです」
彼自身ではなくだ。宦官について話すのだった。
「己のことしか考えず。その為には手段を選びません」
「趙高の頃からな」
「ですね。そして自分も手駒とは気付かない」
「後宮にいては視野も狭くなるものだ」
「だからだ。いいものだ」
左慈はまた話した。
「実に使いやすい」
「はい。そしてです」
「各地の州牧達が動くな」
「間違いなく。そうなります」
こうも話す。
「そしてその時に」
「御前等が動くのだな」
左慈は左に顔を向けた。そのうえで闇に問うた。
すると闇の中からだ。まずはバイスとマチュアが出て来た。
そしてだ。二人はこう左慈に答えた。
「ええ、そうよ」
「その通りよ」
二人が同時に言った。
「その戦乱の時にはね」
「私達も動くわ」
「無論私もです」
青い服の牧師も出て来た。彼は。
「このゲーニッツも」
「オロチ一族は全てね」
「動くわよ」
小柄な少年とだ。目を前髪で隠した女も出て来て言うのであった。
「そうだね、社」
「動くのよね」
「ああ、いよいよその時が来たな」
あの白い髪の男も出て来た。
「クリス、シェルミー、それでいいな」
「ええ、勿論よ」
「そしてこの世界でオロチをだね」
「出させる。そうする」
「うむ。私もだ」
今度はだ。赤いタキシードの男だった。
端整な口髭に丁寧に整えたブロンドの髪を持っている。見れば左目がない。
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