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異能バトルは日常系のなかで 真伝《the origin》

作者:獣の爪牙
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第二部
第五章 担当精霊
  5-2 リールート、覚醒める・チーム名

 
前書き
中途半端ですが、ラスト投稿です。
活動報告とかが無いっぽいのでここに色々書きます。
最初は自己満足で投稿する気は無かったのですが、ここまで見てくれる人がいてやっぱり嬉しいです。
くすりとでも笑ったり喜んでもらえたらおれの勝ちです!
拙い部分もあったと思いますが、ありがとうございました!
よければ、本当によければ笑感想とかくれると嬉しいっす!

今回はおふざけ回かな。
それではどうぞ!

 

 



「おれだ。ちょっと頼みがあってな……」

男は電話を掛けていた。

「……いつもの場所で落ち合おう。手筈はその時に。じゃあな」

電話を切り、自室のベッドで横になる。

「おもしろくなりそうだ」
そう言い不敵な笑みを浮かべた。


********************


リールートさんがやってきた翌日の文芸部。
安藤くん以外は部室に揃っていました。
もう少し異能バトルについての情報交換をしなければならないでしょう。

少し待つと、安藤くんが入ってきました。
彼はブレザーを脱ぐと地面に落とします。

するとブレザーが黒い炎で燃えて最後には消えました。
「えっ?」

さすがに安藤くんもブレザーを燃やしたらどうなるか分からないほどバカではないと思います。
この中で復元出来て協力しそうなのは私以外に千冬さんくらいです。
千冬さんを三人で見ますがふるふると首を横に振りました。

その間にも安藤くんはいつのまにか現れた、
肩や左胸に金の装飾の施された黒く丈の長いマントを羽織っています。

私達を置き去りに、安藤くんはネクタイを緩めながらいつものイスに手を掛けます。
今度はパイプイスが黒い炎で覆われ、魔王が座りそうな玉座へと変貌しました。
「!」

安藤くんがやけにいい顔で言いました。
「遅れてすまない。じゃあルート、議会を始めよう……」
「ウザ過ぎ」
スパァーンといい音で灯代さんがハリセンで安藤くんの頭をはたきました。


「……灯代‼︎ 今めちゃくちゃかっけー所だったじゃんか⁉︎」
「みんな困惑してるでしょ! どうせ昨日の精霊が協力してるんでしょうけど……普通にしてて!」
「ちぇっ、余計なことを……。おーいルート! 出てきていいぞー」

リーティアさんと同じように昨日の精霊が姿を見せました。

「ふむ、終わりか。それでどうだった?」
「いやー、なかなかよかった。発動のタイミングといい、演出の感じといい、センスあるな」
「いや、それほどでもないよ」

言葉では謙遜しつつ満更でもない感じのリールートさん。
この瞬間、強烈に嫌な予感がしました。

「やっぱりあなたがやっていたんですね。なんでちょっと嬉しそうなんですか」
「ため口でいいぞ。宵闇に嗤う二律背反の魔女《エンドレス・パラドックス》」
「だれよ教えたのっ⁉︎」
「おれ」
「お前かいっ‼︎」

まあ、冷静に考えて安藤くん以外に教える人はいないでしょう。

「あのー、つまりどういうことでしょう?」
状況を把握していない鳩子さんに伝えます。
「つまり先ほどのは、安藤くんの動きに合わせてリールートさんが異能かなにかを発動していたということでしょう。さも安藤くんが使っているかのように」

安藤くんのジ・エンドを普段使いしている所は初めて見たのでその驚きもありました。

思い返せば安藤くんは驚く私達を見て楽しみいい顔をしていたということになります。

そう考えると急激にイラっとしてきました。
後でそれとなく関節を極めましょう。

「最初はただの人間になにを大層な二つ名をと思ったが、聞いてみれば時間に干渉出来る異能だそうじゃないか。そんな能力は聞いた事もないぞ」
「ああ! 灯代の異能はかっけー! 二つ名のセンスもかっけー!」
「ちょっ! いや、まあ、なんていうか……」
本気でそう思っているらしい二人。
異能を褒められ、満更でもない灯代さん。

この時またしても先ほどの嫌な予感を感じました。
「これは……まさか……」

悪い予感ほど当たるものです。


「二つ名か……悪くないな……」


実感のこもった言い方のリールートさんの言葉に、私達は呆然としました。

「ほう。……また新しい咎人が誕生したか」
「やめた方がいいですよ、二つ名とか。こいつみたいに歩く黒歴史になりたくなければ」
「歩く黒歴史……。歩く黒歴史《インフルエンサー・ブラック》……」
「悪口を厨二で返すな!」

ぼーっとしている私達三人に灯代さんが声を掛けます。
「彩弓さん? どうかしました?」

「厨二病が、三人……?」
「彩弓さん? もしかしてあたしも入れてます?」
「こんなことって……」
「鳩子?」
「ありえない……」
「千冬ちゃんも?」

これはまずい……!
安藤くんとリールートさんのカップリングを模索している場合ではなかったようです。
どうにかしなくては。

こうしてある意味で前回以上の文芸部の危機と私達三人は向き合うことになりました。


********************


「やっぱちげーよな」

リールートさんのルール講義が一段落し、みなさんが休憩している時、安藤くんがワケありの表情で言いました。
なにかルールで不可解な点があったのでしょうか?
「なにがでしょう?」

「おれ達のチーム名がD-6だなんて納得できないっ!」

「はい始まりましたー」
いつもの発作に、慣れた様子のみなさん。

「だってD-6って! 記号じゃん! 番号じゃん! 出席番号じゃねーんだぞ!」
「そうは言っても変えられるものではないのでは?」

そう言いリールートさんを見ると
「いや、変えられるぞ」
「まじで!」
「そうなんですか?」
D-6は仮名称でチーム名は好きに変えられるそうです。
「変えているのは黒き十二枚の翼《フォールン・ブラック》とかかな」
「……」
けれど他にも変えているチームがいくつかいるそうです。

「変えるのか?」
「もちろん」

……。
まだ女子四人がなにも言ってませんが。
「別にD-6でもよくない?」
「否っ! 断じて否っ!」
安藤くんは止まりません。
はあ。
「まあ、名前くらいはいいんじゃないでしょうか。記号よりは呼びやすくもなりますし」
「彩弓さあん!」
うざっ!

「まったくも〜。じゅーくんは。今回だけだよ」
「アンドー、困ったさん」

「実を言うと、こんな時が来るだろうと思い考えておきました」
そう言いつつ、ホワイトボードを出す安藤くん。
「おれ達のチーム名はこれです!」


この戦争を終わらせる《unlimited super powers》。

……。
「ちなみに親文字にはおれ達の決意を。スーパーパワーは異能の英訳です。悩みに悩みましたがやはりこれしか……」
「安藤」
灯代さんが安藤くんの方を向き目を見て言いました。
「厨二過ぎる」
「……」

私達の気持ちを代弁してくれました。
「やっぱ、だめ?」
「うん」
「どうしても?」
「うん」
「絶対?」
「うん」
「神に誓って?」
「うん」
「天照おおみかみ……」
「しつこいわ!」
チョップが安藤くんの頭に炸裂しました。

安藤くんに駄々をこねられても面倒なので
「ではこうしましょう。安藤くんのチーム名をベースとして、みなさんの意見も取り入れましょう。全員のチーム名ですので」
「確かにっ!」
「くっ! そ、そうですね」
正論を言われ了承せざるを得ない安藤くん。

少し考えた末にまず灯代さんがホワイトボードを修正しました。
「とりあえず厨二レベルを下げるべきよね」

泉光高校文芸部《unlimited super powers》

「くっ! まあ、まだマシではあるか……」

続いて鳩子さんが
「この親文字……? をかっこよくすればいいんだよね?」

泉光高校文芸部《letter and art club》

「鳩子……お前は十六年間おれのなにを見ていたんだ……」
「ええっ! ダメなの?」
「ダメに決まってるだろ! ただ英語にしただけじゃんか」
「むずかしいな〜」
そこで千冬さんが
「ちっちっち。鳩子わかってない。大事なのは心にひびくかどうか」
「千冬ちゃん!」
そこで千冬さんが出した答えは

泉光高校文芸部《unlimited super pineapples》

「あんりみてっどすーぱーぱいなぽーず」
「もう台無し‼︎」

安藤くんは最後の希望を託すかのように私の方を見ます。
もう収拾がつかなくなっている気もしますが。
仕方ないですね。
私は修正したホワイトボードを見せました。

泉光高校文芸部《unlimited super powers》

「これは……」
「彩弓さん……いいんですか?」
「これが折衷案といった所でしょうか。灯代さんの言いたいことは分かりますが、安藤くんが一生懸命考えてくれたようですしね」
「彩弓さあん!」
うざっ!
「それにこのルビだと長過ぎるのでたぶん泉光高校とか文芸部などのように呼ばれると思いますし」

「あっ……」
「そうですね、それでこの厨二が満足出来るならそれでいいか」
「私もそれでいいよ〜」
「千冬もおっけー」

いや絶対定着させる! とかのたまう安藤くんを無視しリールートさんに伝えます。
「では、これで」
「分かった。泉光高校文芸部《unlimited super powers》で登録しておく」
「……」
声に出して言われると、なんかキツいですね。
早まったかもしれません。


「あと、リーダーを決めておいて欲しいのだが」
「はい! おれやりたい!」
安藤くんのリーダー立候補は

「いいんじゃない?」
「おっけー」
「りょうかい」
「異論はありません」
秒で決まりました。

「分かった。合わせて登録しておく。ルールについてはもう大丈夫だな。それと……言っていなかったが、もう既に次の対戦が決まっている」
「!」

早くも二回戦ですか。

「次の対戦相手は……」
 
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