オズのキャプテン船長
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第七幕その三
そこに一隻の船がありました。マストが三本ある帆船でした。しかもです。
真ん中のマストの旗に黒い髑髏とその下に交差した骨がありました、トロットはそのマークを見てわかりました。
「海賊船ね」
「そうだよ」
「素敵な船を見付けたわね」
「じゃああちらに行ってみるか」
「ええ、そうしましょう」
「海賊船って」
恵梨香はそう聞いてです、不安なお顔になって言いました。
「近寄ったら駄目なんじゃないですか?」
「外の世界ではそうよね」
「はい、若し近寄ったら」
それこそと言う恵梨香でした。
「何をされるかね」
「わからないわよね」
「はい、本当に」
それこそというのです。
「海賊は悪い人達ですから」
「それは外の世界のことでね」
「オズの国の海賊は違いますか」
「そうよ、悪いことはしないわよ」
そうだというのです。
「別にね」
「そうですか」
「お宝は海の底や島を冒険して手に入れるから」
「船は襲わないですか」
「そうしたことはしないの」
全く、というのです。
「だからね」
「安心してですか」
「そう、近寄ってね」
「お話していいですか」
「そうよ、楽しい人達よ」
オズの国の海賊達はというのです。
「だからね」
「安心してですか」
「会いに行きましょう」
「それじゃあね」
二人でこう話してでした、そのうえで。
トロットは船長に笑顔で言いました。
「じゃあ今からね」
「海賊船の方に行くんだね」
「そうしましょう」
是非にと言うのでした。
「これから」
「それじゃあね」
「ええ、そしてね」
「お話をするんだね」
「そうしましょう」
トロットが決断を下してでした、船は北北東の海賊船の方に行きました。するとその海賊船の方もです。
一行の船のところに来ました、そうしてすぐに合流してです。
二隻の船は接舷し合ってそのうえで皆で、でした。海賊船を観ようと甲板に集まりました。海賊船は皆が乗っている船と同じ位の大きさで海賊の人達も甲板に集まっていましたが三十人位います。皆青と白の横縞のシャツにズボン、頭に赤いバンダナという恰好です。
そして船長はです、フック船長みたいな恰好で口元や顎のお鬚をポマードで固めています、面長で精悍な顔立ちです。
海賊船の船長は一行に笑顔で海軍の敬礼をしてから挨拶をしました。
「キャプテン=チェーチである」
「チェーチ船長ね」
「そうである」
ビリーナの言葉に笑顔で答えるのでした。
「かく言う貴殿はビリーナ殿であるな」
「ええ、そうよ」
その通りだとです、ビリーナは答えました。
「はじめて会うわね」
「そうであるな」
「海賊船には何度か会っているけれど」
「吾輩は貴殿とははじめて会ったである」
「でははじめましてね」
「そうであるな」
「わしは一度会っているよ」
「私もよ」
船長とトロットはでした。
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