黄金の羊
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第四章
「これでもゆっくり方角見て行ってるしな」
「どうして方角わかるねん」
「それは私達が確かめています」
「私達がわかりますので」
狼と鹿が答えた。
「それでご主人様にお話していますので」
「問題ありません」
「そうか、自分等そうした力もあるか」
「はい、神具としてです」
「軍師や宰相も出来ますが」
狼が軍師、鹿が宰相である。二匹でナツァグドルジの戦も政も支えているのだ。
「方角や求める場所の位置もです」
「鼻や目でわかります」
「そして耳もあります」
「五感が発達しているので」
「この二匹やと問題ない」
ナツァグドルジは落ち着いていた、見れば戦闘の時に使うチンギス=ハーンの弓はその手の中にある。
「こうした時もな」
「そやからか」
「千キロって距離にどうかと思わずな」
そのうえでとだ、黄に告げた。
「先に進んでいこうな」
「それしかないか」
「千キロも馬やとすぐや」
ナツァグドルジの言葉は変わらなかった、そうしてだった。
三人はそれぞれ馬に乗って狼と鹿の助けを借りて黄金の羊の場所を目指していった、そして羊がいるという老夫婦のゲルとその周りの家畜達を見て。
李はふと顔を顰めさせて言った。
「ようやく辿り着いたと思ったら」
「どないした?」
「寒いですね」
ナツァグドルジに気温のことを話した。
「どうも」
「モンゴルはこの世界でも緯度高くてな」
「大陸の真っ只中だからですね」
「寒いわ」
「そうした場所ですね」
「冬は雪も積もって長く厳しい」
そうした地域だというのだ。
「そして草原から先に行くと砂漠やしな」
「ゴビやタクラマカンの」
「寒いのが普通や」
「そやから寒いと思うのも」
「当然や、そして寒いと思ったら」
その時はというのだ。
「もっと厚い服を着ることや」
「そうすればええですか」
「服もあるしな」
「そうですか」
「けどゲルの中やとあったかいやろ」
「流石にあの中は」
実際にとだ、李は答えた。
「そうですけど」
「そやったらええやろ、それでな」
「はい、いよいよですね」
「黄金の羊見付けてな」
そうしてというのだ。
「老夫婦からもらってな」
「ウランバートルまで連れて行って」
「保護しような」
こう話してだった、三人はゲルのところに行き老夫婦の夫妻と会ったがコボルトの夫妻はそうした話ならと言ってだった。
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