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お嬢様の旅

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第三章

「レベルは五十です」
「えっ、五十って」 
 そのレベルを聞いてだった、ナツァグドルジは思わず言った。尚彼等が蹴り出したならず者達は蹴り出された場所で戦闘と列車から落とされた傷で瀕死になって呻いている。
「高校生でそれは」
「はい、魔法戦士としての才能は抜群で」
 それでというのだ。
「ご幼少の時から術も剣術もお得意で」
「悪者が来てもか」
「三歳で二人のチンピラを撃退しました」
「三歳で、ですか」 
 李はその話に絶句した。
「それはまた」
「ですから普段はです」
「護衛もですか」
「私以外は。尚私は職業は執事で」
 このことは見てわかることだったので三人の誰も聞かなかったが彼は自分から今礼儀正しく名乗った。
「レベルは七十でお嬢様がお生まれになった頃からお傍にいますが」
「それでもですか」
「はい、私なぞの警護は」
 それこととだ、執事は李に話した。
「不要なまでにです」
「お強いのですか」
「はい、拳法も学んでおられ」
 素手で戦うこちらでもというのだ。
「そちらでも賊を撃退してきました」
「それでも台湾一周となると」
 どうかとだ、素性を隠しているが実は星の者として台湾を治めてきている黄がこの世界の台湾のことを話した。
「強いモンスターや獣も多いし」
「はい、ですから」
 それでとだ、執事は黄に答えた。だが彼は黄の素性は知らない。
「この度です」
「冒険者に依頼を出したか」
「はい、そして貴方達に来てもらったのです」
「台湾は危険な場所やから」
「台湾はモンスターの多い国ですね」
「アマゾンやアフリカの砂漠、シベリア程やなくても」
 それでもというのだ。
「やっぱり」
「はい、流石にお嬢様でも私だけでは」
「それで、ですね」
「奥様がそう決められました」
「そういうことですか」
「左様です、犯罪者だけではないので」
 モンスターもいるからだというのだ。
「宜しくお願いします」
「ほな」
 黄は執事の言葉に仲間達と共に笑顔で頷いた、そうしてだった。
 三人で令嬢の護衛を続けていった、確かに彼女には犯罪者が寄ってきて黄自身が知っている通り強力なモンスターが多く出て来た。 
 だがそれでも三人は令嬢を無事に護った、しかも令嬢は執事が言う通り強く執事もかなりの術者であり。
 旅は激闘の中でも続けられた、だがここで。
 黄はあることに気付いた、それで台南のホテルの中で二人に話した。度は台湾を台北から時計回りに一周していてそこにも来たのだ。
「僕ちん護衛はしてるけど」
「それでもか」
「そう言われるんですね」
「メイドの仕事はな」
 彼の本来の職業であるそれはというのだ、ただ今は寝る前なので他の二人と同じくシャツとトランクスという恰好だ。その恰好で三人でホテルの部屋の椅子にそれぞれ座ってビールを飲みつつ話しているのだ。肴は向日葵の種だ。 
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