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寒いから嫌

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第一章

               寒いから嫌
 藤枝季衣は分厚いどてらを着ていた、その下はジャージで靴下は毛糸のものでジャージの下にはスパッツを穿いている。
 完全武装で部屋にはストーブをかけたうえで電気こたつの中にいる、そうしてみかんを食べているがその彼女に。
 母は呆れた顔で自分の娘に言った。
「子供は風の子って言葉知ってる?」
「知ってるけれど今日はお外出ないから」
 季衣は電気のおかげでずっと暖かいこたつに足を入れたままその温もりを楽しみつつみかんの皮を剥いている、今で二個目だ。
「このままね」
「いるのね」
「だってもう冬で寒いから、外マイナス六度位でしょ」
「それ位よ」
「中学校は頑張って行ったし。今日は書道部もないし」
 部活の話もした。
「だったらね」
「もうお外には出ないで」
「ここでみかん食べて宿題して予習復習して」
「自分のお部屋でしたら?」
「お部屋寒いから」
 実はストーブがあるので暖かくしようとすれば出来るが電気のコンセントを入れたらすぐに暖かくなるこたつがないので嫌なのだ。
「だからね」
「ここでお勉強もするの」
「そう、このままね」
 季衣は学業優秀だ、予習復習は欠かさない。それはものぐささを出している今もだ。
「そうするから」
「呆れたわ。小学生の子達は公園で雪合戦してるのに」
「雪積もってるじゃない」
「だから余計になのね」
「行かないから」
 季衣は雪も嫌だ、それでまた母に言った。 
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