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戦国異伝供書

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第五十六話 高僧の言葉その十

「よいな」
「あの者達も喜びます」
「それではな」
「では我等十一人で」
「善徳寺まで、そしてこの甲斐に戻るまでな」
「お任せ下さい」
「ではな、しかしな」
 晴信は幸村にさらに言った。
「お主は日増しに大きくなっておるな」
「といいますと武芸で」
「そして学問でな。日々励んでおるな」
「それがそれがしの楽しみなので」
 鍛錬と学問がとだ、幸村は答えた。
「是非共」
「毎日励んでおるな」
「そうしております」
「それがじゃ」
「それがしを大きくしていますか」
「うむ、そしてな」
 晴信は幸村に微笑みさらに話した。
「これからもな」
「鍛錬と学問に励み」
「そしてじゃ」
 そのうえでというのだ。
「大きくなるのじゃ」
「わかり申した」
「そしてじゃ」 
 さらに言うのだった。
「天下第一の武士となるのじゃ」
「わかり申した」
「そして当家にじゃな」
「及ばずながら」
「忠義を尽くしてじゃな」
「働かせて頂きます」
「ではな、わしはよき家臣達を持っておるわ」
 幸村もというのだ。
「果報者じゃ」
「そうも言って頂けますか」
「まさにな、それではこれから飲むが」
「酒ですか」
「二郎とな」
 信繁と、というのだ。
「お主もどうだ」
「身に余る光栄」
「では十勇士達も呼べ」
「あの者達もですか」
「久しく会っておらぬしな」
 このこともあってというのだ。
「この度はな」
「あの者達も入れて」
「そしてじゃ」
「供にですか」
「飲もうぞ」
「それでは」
「あの者達は皆飲むな」
 晴信は幸村に笑みを向けて問うた。
「そうであるな」
「はい、それがしもそうですが」
「十人全員がじゃな」
「飲みまして、清海と伊佐は出家していましが」
「般若湯じゃな」
「そう言っていつも飲んでいて」
 そうしてというのだ。
「その量がです」
「相当じゃな」
「それがしが言えた義理ではないですが」
「注意もするか」
「特に清海は過ぎるので」
 だからだというのだ。
「そうもしております」
「成程のう」
「とかく十人共です」
「飲むのじゃな」
「好きです、甘いものも好みますが」
 そうであってもというのだ。 
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