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食べたものの行き先

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第一章

               食べたものの行き先
 ジャン=ラザワウナリスンと梁雷神は今はラザワウナリスンの神託でマダガスカルアンタナナリボに来ていた、今街では大食い大会が行われていて十星連合の各地からフードファイター達が集まって参加していた。
 そうして様々なものを食べて競っていた、ラザウナリスンも梁もそれぞれ飛び入りで参加して優勝していた。だが。
 その賑やかな大海の中でラザワウナリスンはこう彼に言った。
「食べてもな」
「ああ、何かな」
 梁は炒飯の大食い大会に優勝した後でフルーツの大会に優勝したラザワウナリスンのその言葉に対して応えた。
「盛大に食った割にな」
「満腹になってないな」
「満腹にはなってるが」
 それでもというのだ。
「思った以上やない」
「腹がはちきれんばかりに食ったが」
 大食い大会に出て優勝するまでに食ったのだ、そこまで食えば如何なフードファイターといえど満腹になるというのだ。
「それがな」
「思った以上にな」
「腹が膨れてへん」
「これおかしいな」
「ほんまにな」
 ラザワウナリスンはとにかくこのことが不思議で梁も同じ考えだった。そして巷に聞こえてくる参加者達の言葉は。
「おかしいな」
「ああ、もう限界まで食ったのにな」
「その時は止まっても」
 食べるそれがというのだ。
「それがな」
「競技が終わったらすぐにな」
「そんなに満腹感を感じなくなるな」
「普通に満腹の感じで」
「苦しくて仕方なかったっていうのに」
「それがどうしてだ」
「一体どういうことだ」
 誰もが首を傾げさせていた、そのうえでの言葉だった。
「何でだ」
「満腹を感じない」
「おかしなことがあるものだ」
「訳がわからないぞ」
「全くだ」
 彼等もこう言っていた、それでだった。
 ラザワウナリスンはこのことをもう一度確かめる為に今度はスパゲティ、ミートソースのその大会に出てみた。この大会でも強敵達を抑えて優勝した。元々起きた世界でも大食漢であるがこの世界ではさらに大柄なゴーレムという種族でしかも鍛冶屋と言う肉体労働の職業に加えて日課のトレーニングをした後で参加したのでそれが出来た。
 優勝した瞬間は苦しくて仕方なかった、だが競技が終わってすぐにだった。
 普通の満腹感になっていた、それで梁に確信して言った。
「やっぱり苦しい位の感じがな」
「なくなってるか」
「そうなってる」
「そうか、ほなな」
「これは何かあるわ」
「そやな、普通にな」 
 それこそとだ、梁も言った。
「何もなくてそんなことにはならん」
「そや、それでや」
「この謎を解き明かすか」
「これがどの大会でもやからな」
「何かある」
 ラワワウナリスンはこう答えた。
「そう思ってええわ」
「そやな、ただな」
「ただ?」
「大会で食べるもんだけか」
 果たしてとだ、ラワウワナリスンは言った。 
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