蒼と紅の雷霆
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蒼紅:第十六話 復讐
前書き
少し不快になるかもしれません。
無能力者嫌いと能力者嫌いの会話は指が進みました。
ある人物を除いた宝剣持ちの能力者を撃破したGV達は宇宙ステーション・アメノウキハシに到達したGV達。
「ここにシアンが…」
「焦るなよGV」
「ここは慎重に行きましょう」
急ぎながらも慎重に先に進んでいくと獣のような笑い声が聞こえてきた。
「キシャシャシャシャッ!!」
「誰だ!」
聞き覚えがある声だが、このような獣のような声ではなかったので予想していた人物ではないのかとGVは思ったものの…。
「シャシャシャ!!アンタ達ガ、侵入者ぁ?」
「やっぱり…今までの能力者はお前が蘇らせていたのか…エリーゼ!」
「…エリーゼにしては随分と獣のような状態になっているがな」
「ソウだヨォ~!アタシガァ…コウやってェ…死死死死死死死!死死死死死死死!死死死死死死死!!離The裂苦死ョN!!」
2つの復活の光が発生し、GV達の前後に見知った弱気なエリーゼと強気なエリーゼが現れた。
「はうぅ…生き返ってすみませぇん…」
「…その姿、まだ別の人格がいたのか」
「ウフフ…大正解。前に戦った時、死ぬ瞬間に“そいつ”の魂を逃がしておいたの…最も危険な人格(エリーゼ)…その魂の封印を解いたのよ。正直、一か八かの賭けだったわ…そいつはアタシも皇神も制御出来ない獣……でも、賭けはアタシの勝ち。だってアタシ達は、こうして蘇ったわ!」
「キシャシャシャシャ!!サァ、皆でアそボッカァ?」
「数は互角ですが…少し厳しいかもしれませんね」
「だが、ここまで来ておいて負けるわけにはいかん。必ず倒すぞ」
GV達とエリーゼ達は同時に動き出した。
「改めて自己紹介といこうかしら、アタシはエリーゼ3」
「わっ…私は…オリジナル…エリーゼ1…です…はい…」
「そしてそいつがエリーゼ2…」
エリーゼ3を名乗る彼女が、新しく増えたエリーゼ2と呼ばれた分身に目配せする。
「キシャッ…!キシャシャシャシャッ!!」
だが、エリーゼ2は獣じみた笑い声を上げながらクナイを投げつけるだけで、話を聞いている様子はない…。
「はぁ…そうね。こういう奴だった。そいつ、アタシより先に造られたんだけど…コントロール出来ないからって暗示で封印されてたのよねぇ…でも、此処にいるってことは…皇神の連中も、そいつの制御法見つけたのかもね」
「シシッ!アタシはァ…知ィ~ラなぁイィッ!キシシシシッ!!」
エリーゼ2が人を小馬鹿にするようにせせら笑う。
「…ふぅん…まあ、いいわ。本当の“生命輪廻(アンリミテッドアニムス)”の力。とくと御覧なさい!」
「何であろうと、お前達が僕達の行く手を阻むのなら…葬り去るだけだ…!」
「不死身だろうと復活が不可能になるまで貴様らを跡形もなく粉砕すればいい話だ…!!」
「私達は今更、負けるわけにはいきません…!」
「フフフ…いいわぁその目…ゾクゾクしちゃう。それでも、きっと坊や達は、アタシ達…いいえ 、“そいつ”には勝てない…」
「キシャーシャッシャッシャッ!遊ボォ?ミんナでサァッ!!」
「まずは貴様からだ!!」
エリーゼ2に向けてチャージショットが放たれ、エリーゼ2に直撃するものの…。
「シャーッシャッシャッ!!擽っタイなぁッ!!」
「何!?」
「効いてない!?」
「いえ、再生スピードが速すぎてダメージが追い付かないんです!!」
ソウのチャージショットが通用しないことに動揺が走るが、テーラが理由に気付く。
「チッ!ならば、チャージセイバーならどうだ!!」
チャージを終えた銃を構えて突撃し、チャージセイバーでエリーゼ2を斬り裂くものの、すぐにエリーゼ2は再生してしまう。
「なら、以前通りにエリーゼ1とエリーゼ3を狙うしかない!!」
GVがエリーゼ3に避雷針を3発当てて雷撃を流し込み、ソウはエリーゼ1にショットを浴びせていく。
「キシャアッ!!」
「鏡よ!!」
鏡の盾で防ぐものの、攻撃力も他のエリーゼとは段違いなのかクナイ1つで盾が破壊された。
「えいっ」
「邪魔だ!!」
クナイを投擲するエリーゼ1にチャージショットを当て、GVもダメージを稼ぐ為に上下への2WAYショットが可能なテクノスにカートリッジを切り替えて雷撃を流しながらエリーゼ3に避雷針を当てていく。
エリーゼ2の攻撃をテーラが引き付けてくれているためにソウとGVは比較的集中してエリーゼ1とエリーゼ3に攻撃出来た。
「迸れ、紅き雷霆よ!閃くは破滅の雷光!紅雷の刃よ、敵を斬り裂け!ギガヴォルトセイバー!!」
移動の際に重なった2人のエリーゼに必殺の雷刃波を叩き込むソウ。
「ああっ!?」
「ぐっ!!」
ソウがエリーゼ1とエリーゼ3をSPスキルで同時に撃破するが、ダメージを受けないエリーゼ2がSPスキルの詠唱を始めた。
「死死死死死死死!死死死死死死死!死死死死死死死!!離The裂苦死ョN!!」
蘇生の光が発生し、エリーゼ1とエリーゼ3が復活し、しかも即座の復活であるにも関わらずに体力もエリーゼ1とエリーゼ3での蘇生以上に回復している。
「っ!生き返るか…」
「シャッシャッシャ!マダマダ遊ビ足んナァイな~?」
「エリーゼ1と3以上の蘇生能力とはな」
「エリーゼ2の詠唱を止めようにも攻撃が効かないのでは…!!」
「ふふ…エリーゼ2の力はアタシ達以上…完全な蘇生…言ったでしょ?坊や達はそいつには勝てない、ってね」
「うぅ…すみません…不死身で…」
エリーゼ2はダメージを上回る速度で再生するため、いくら攻撃を与えても意味がない。
「カレラのような能力があれば奴の能力を封じつつダメージを与えられますが…」
「無い物ねだりしていても仕方ない。今は戦うんだ。戦い続けていれば何時か勝機が見えてくるはずだ…」
何とか戦意を奮い立たせ、GV達は先程と同じようにエリーゼ1とエリーゼ3に攻撃し、テーラがエリーゼ2を引き付ける。
「(敵は3体…これならスパークカリバー以上の攻撃力が見込める…頼む、効いてくれ…!!)迸れ!蒼き雷霆よ!閃く雷光は反逆の導!轟く雷吼は血潮の証!貫く雷撃こそは万物の理!!ヴォルティックチェーン!!」
広範囲に鎖を召喚し、3人のエリーゼを絡み取ると雷撃が炸裂する。
攻撃対象が3人のためにスパークカリバー以上の攻撃力がエリーゼ達を襲い、エリーゼ1とエリーゼ3は再び消滅したが、エリーゼ2は無傷である。
「あれでも駄目とは…」
「しぶとい奴だ」
「キシャシャシャシャッ!!ソんナコとシテもム・ダァ~!行クよォ?リザレ…」
「散れ…能力者(化け物)が…!」
「グゥッ!グェェッ!」
エリーゼ2の後ろから弾丸が撃ち込まれ、不死身のはずのエリーゼ2の肉体が膨張・爆発すると残った宝剣が粉々となる。
弾丸が放たれた方角を見遣ると、そこには銃を構えたアキュラの姿があった。
「貴様はあの時の無能力者…」
「対能力者用特殊弾頭(グリードスナッチャー)…不死身の化け物相手にも効いたようだな。生命を支配するなど、神の摂理に背く許されざる行為だ…。そして、神の摂理に背くのは…貴様らもだ。貴様らも俺が断罪する。来い…この先で待つ」
そうして去っていくアキュラ
「兄さん…彼が…?」
「……ああ………行くぞ」
ソウはGVとテーラと共にアキュラが待つ奥へと進んでいき、そして冷たい目で自分達を待ち構えていたアキュラを見つめる。
「おい、無能力者(屑)。貴様を殺す前に1つ聞いておくとしよう。何をしに此処に来た?内容次第では痛みもなく貴様の息の根を止めてやらなくもないぞ?」
「「………」」
ソウから放たれる凄まじい殺気にGVとテーラは自分に向けられていないのにも関わらずに閉口してしまう。
「皇神の企み… “歌姫プロジェクト”と言ったか…奴らの好きにはさせん…皇神も、電子の謡精もこの手で始末する」
「ほう、そうか。尚更貴様を生かしてはおけなくなったな。今すぐここで無様に死に果てろ」
銃をアキュラに向けるソウだが、GVはそれを制してアキュラに向き直る。
「待ってくれ兄さん!!皇神を打倒するというのなら、手は貸す…だが!シアンには、絶対に手出しさせない!」
「貴様らの手など借りん…能力者(化け物)は1匹残らず根絶やしにするまでだ。貴様らも、この銃弾で神の御許へ送ってやろう」
「化け物ですって…何て傲慢な…」
テーラが忌々しげにアキュラを睨む。
自分達、能力者を恐れて迫害してきた無能力者と重なるのだろう。
あちらより質が悪いのはアキュラが並みの能力者よりも力があることだ。
「神だと?相変わらずおめでたい頭だ。GV、先に行け。こんな雑魚は俺1人で充分だ…」
「でも…」
「こんな雑魚に時間を取られてプロジェクトが始まったらどうする?早く行け…俺達のミッションはこいつの始末じゃない…シアンを救うことだろう」
「…分かった、頼んだよ」
GVは先に進むためにダッシュで一気に駆け抜ける。
「させるか…」
「それはこちらの台詞だ」
GVに銃を向けるアキュラだが、ソウのチャージショットが迫ってきたので回避に移らざるを得なくなり、GVを紫電の元に行かせるのを許してしまう。
「何でも自分の思い通りになると思っているのか無能力者(屑)め」
「ふん、良いだろう。まずは貴様らを始末する」
アキュラは対象をGVからソウに素早く切り替えて銃を構えた。
「ソウ…」
「テーラ、手出し無用だ。奴は俺が始末する」
「…分かりました…あのような無能力者に負けないで下さいね…?」
「…当然だ。さっさと始末してGVを追う…離れていろテーラ」
ソウはアキュラと相対し、互いに殺気を放ちながら銃を構えた。
「滅べ!!」
開幕から放たれたのはベオウルフの銃弾である。
ソウはジャンプと雷撃鱗のホバリングを利用して銃弾をかわす。
恐らく前回の戦いから一部の装備も強化されているのではないかと思ったが、予想は的中した。
ソウの雷撃鱗を銃弾が貫通したのだ。
「ふん、最低限の学習能力はあるか…それにしても擬似的な第七波動を扱う技術…この皇神以上の技術をどうやって…」
「恐らく彼は神園博士の息子でしょう」
スパイ時代に入手したデータには皇神の重要人物のことも入っており、この中にはアキュラの父親も入っていた。
「神園博士?何者だそいつは?」
「かつて皇帝未来技術研究所に勤務し、霊的遺物が引き起こす現象の法則性を検証してそれを元に第七波動を制御する様々な技術を開発した人物です。 皇神が保有する能力者関連の技術…その基盤を作ったのが彼の父親なのです」
「…そんな奴の息子が何故皇神と敵対している?普通ならば皇神側の人間ではないのか?」
「…俺は…亡き父の遺志を背負い、戦っている…」
テーラの説明にソウが疑問符を浮かべるが、アキュラは少しの沈黙の後に語り始めた。
「……?」
「俺の父は、かつて皇神の研究施設で能力者についての研究をしていた。研究の末、父はある結論に至った。能力者は、いずれ俺達人類を脅かす天敵となる、と…父は皇神の上層部に能力者の危険性について必死に訴えかけたが…皇神の屑共は、能力者を利用して利益を得るために、その訴えを全て握り潰し、父を死に追いやったのだ…。」
疑似第七波動の武装を使い、ソウを狙うが半分近くは見せたことがあるためにかわされてしまう。
「歌姫プロジェクトだと…?能力者の完全支配だと…?…下らん。奴らのような屑が、化け物を律したところで…その先に待つのは、破滅だけだ。だからこそ…能力者(化け物)共は1匹残らず根絶やしにしなければならない…俺達“人間”が生き残るために…」
銃弾と疑似第七波動の武装を展開しながらアキュラは語り終える。
「ほう、そうかそうか…その能力者の大半を無能力者の脅威にしているのは他でもない貴様のような無知な無能力者(屑)共なんだがな?それにしても…殺された父親のためか…ク…ククク…ッ!!」
「……何がおかしい…!?」
突如、嘲笑を浮かべて笑い始めたソウにアキュラは不愉快そうに睨む。
「…これが笑わずにいられると思うか?貴様の父親がどんな塵だったのかは知らないし、興味もない。死因が皇神の屑共かそれともどこかの能力者に殺されたのかは知らないが、貴様の父親がもし能力者に殺されたなら…能力者に殺されて当然の存在だと思うがな」
「…何だと!?」
「テーラ、奴の父親は能力者の実験もしていたのか?」
怒るアキュラを無視してテーラに尋ねるソウ。
「残されているデータには能力者を被献体とした人体実験に関わっていたようです」
淡々と答えるテーラにソウは嘲笑を深く浮かべる。
「そうか、ならば余計に能力者に殺されて当然だな?分からないのか?貴様の父親は俺達能力者を実験材料にし、その成果で功績を挙げていたんだ。俺達能力者を道具のように扱い、金を、名声を手に入れていたんだ。貴様の父親のような能力者を利用する塵は俺達能力者に殺されたとしてもそれは当然で俺達能力者に文句は言えん。そしてそれに対して恨みを持つ資格など無い。理解出来たか?被害者面をし、勝手に逆恨みをしているだけの無能力者(屑)の息子がっ!!」
嘲笑と共にアキュラに父親への侮辱の言葉を叩き付ける。
幼少の頃から皇神の研究員から道具のように手酷く扱われ、勝手に造っておきながら能力が強すぎると言う身勝手な理由で廃棄を決められた過去を持つソウからすれば、それと同類の神園博士と言う人物は嫌悪の対象でしかない。
「ーーーっ!!父を侮辱したことを悔やめ!!魂まで残さず、神に祈る間もなくここで死ね!ソウ!!エクスギア、リミッター解除!仕留めし魍魎の魂!その罪架を以って!更なる罪悪を討ち祓わん!!ギルトコンビネーション!!」
敬愛する父親を侮辱する言葉に頭が怒りで真っ赤に染まる。
冷静さは消え去り、紫電とGVのことなどお構いなしに思考は目前にいるソウを討滅するために盾…エクスギアの武装を展開する。
「ククク…馬鹿が頭に血を上らせたか?周囲に甘やかされて育ったお坊っちゃまは沸点が低いようだな!!」
嘲笑を浮かべながらアキュラの攻撃にソウは対処していく。
「ブレイジングバリスタ!!」
メラクの亜空孔を再現したものを複数展開し、そこにデイトナの第七波動を再現した爆炎の矢を複数放ってソウを狙うが、カゲロウ込みでかわされてしまう。
「偶然でしょうが、私のレジデントオブエデンに近い攻撃ですね」
アキュラのSPスキルを見たテーラの呟きは爆音で掻き消されてしまう。
「ジェラシックゴルゴン!!」
エリーゼの第七波動の再現である石化の光。
初めて見る攻撃だが、メラクとカレラの疑似第七波動は見たので残りはパンテーラとエリーゼの疑似第七波動と予想していたので、即座に光を見ないように目を閉じる。
正解だったようでソウには何の影響もない。
「チィ!!穿て!アロガントファング!!」
石化光線で動きを封じた後に追撃で放とうとしたイオタの疑似第七波動の武装を放つ。
アキュラが集め、造り上げてきた全てはソウと言う能力者を滅ぼすために使われた。
「奪い取れ!グリードスナッチャー!!」
レーザーとビットで動きを制限した後にカレラの第七波動を再現した弾丸がソウに直撃する。
これは能力者の第七波動の流れを乱し、空気中に拡散することで一時的に能力を無効化する弾丸なのだ。
「よし…!!」
これでソウの第七波動は封じたと、この時のアキュラは思っていた。
「惑え…!世に仇たる天魔を滅する!この手が罪にまみれても!咎ある魂を、神の御許へ!!ラストドップラー!!天魔覆滅!!消えろ!!能力者(化け物)!!!」
ソウとグリードスナッチャーのオリジナルの能力の持ち主であるカレラとの戦闘を見ていないこの時のアキュラは自身の勝利を確信していた。
パンテーラの第七波動を再現した武装を展開しながらソウに突進する。
「ふん」
グリードスナッチャーによって多少の脱力感は一瞬感じたが、短時間で立て直すとジャンプとマッハダッシュでアキュラの背後を取り、振り返ったアキュラの顔面を鷲掴みにして壁に頭を叩き付けた。
「ぐあ…っ!!」
「俺とカレラの戦闘は知らないだろうと思ってわざと受けてみたが正解だったようだな。俺にカレラの能力は完全には効かん。磁界拳の効果よりも俺の第七波動回復の方が速いようだからな」
正確にはグリードスナッチャーは磁界拳と違って第七波動の流れを乱して空気中に拡散させるのだが、ソウの因子と体質が合わさったEPエネルギーの自然回復の早さにその効果が追い付かないのだ。
「何…だと…!?」
「こんな武装、貴様には過ぎた玩具だ」
チャージショットでエクスギアを破壊すると、冷徹な目でアキュラを見つめると再び頭を壁に叩き付ける。
「ぐあああ…!!」
何度も頭を壁に叩き付けられたことで頭から血が噴き出すが、それでもソウは壁にアキュラの頭を叩き付けて抵抗が出来なくなると床にアキュラを叩き付けた後に頭を足で踏みつける。
「どうした?前にも言ったが、その程度では俺は殺れんぞ?この程度で全ての能力者を根絶やしにするだと?笑わせるな、貴様では途中で返り討ちにされて死ぬのがオチだろう。」
アキュラの隣に落ちていた銃を拾うと、意識が朦朧としながらもソウを睨む。
「その…銃に…触るな…!!」
「何だ?こんな玩具がそんなに大事か?ならばこれで良いことを教えてやろう。貴様は皇神の屑共はともかく俺の家族にまで手を出そうとした。人の大事な物に手を出すとどうなるのかを優しい俺がこれで教えてやろうじゃないか」
手に雷撃を迸らせ、アキュラの目の前で銃を破壊し、それを踏み砕いた。
破壊された銃はもう修理も不可能な状態である。
「き、貴様ーーーっ!!ごはっ!?」
「黙れ…まあ、これで貴様が死ぬ前にいい勉強になっただろう?人の大事な物に手を出すと、その因果は必ず回ってくる…来世とやらがあるのなら今度は身の程を弁えるんだな」
憤怒の表情で起き上がろうとしたアキュラを蹴り飛ばし、ショットを連射して身動きが出来ない程に痛め付けた後は再び頭を足蹴にすると自身の銃を構えた。
「弟なら甘さのせいで貴様を見逃してやったかもしれないが、俺はGVのように甘くはない。ただ、即座に息の根を止めてやる程の慈悲を貴様に与えてやるつもりもない。」
銃から普段はチャージショット以外では使わない避雷針を数発放って、アキュラの甲冑(アーマー)に守られていない部分に刺す。
「あぐっ!?」
するとそこから出血し始める。
「貴様は全身から血を流して死んでいけ。少しずつ迫る死の恐怖に怯えながらな。行くぞテーラ、この雑魚のせいで余計な時間を取られた。」
「とどめは刺さないのですか?」
「とどめを刺す価値もない害虫に何故そんなことをする必要がある。それに放っておいてもこいつは勝手に死ぬ。じゃあな、精々死の恐怖に怯えながら死んでくれ」
倒れているアキュラを床に転がる小石のように蹴り飛ばすとソウはテーラを連れて紫電の元に向かうのであった。
「く…そぉ…」
朦朧とする意識の中でアキュラが思うのは修理不可能なまでに破壊された父の形見である銃への無力感と能力者(化け物)に脅威とも思われずにゴミのように倒された自分への怒りであった。
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