蒼と紅の雷霆
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蒼紅:第十一話 磁界
前書き
このボスって無印本編では弱いですけど、爪では恐ろしく強い
ソウがメラクを倒してからしばらくして、ジーノからフェザーの依頼が舞い込んできた。
『今日の依頼は皇神のデータバンク施設の襲撃だ。その施設には、皇神が研究してきた能力者の臨床データが保管されてるらしい…もしかしたら、お前達やシアンちゃんのデータもそこにあるかもな…』
「…能力者の研究データか…もう二度と、僕達やシアンのような犠牲者を生み出させはしない…OK、その依頼受けるよ」
『助かった!お前ならそう言ってくれると思っていたぜ!』
「今回は僕だけで行くよ。この前は兄さんが1人で行ったし…」
『お?意外だなGV。もしかしてお前、前のミッションでソウに留守番させられたの根に持ってんのか?』
「ジーノじゃないんだから…僕は兄さんに少しでも個人の時間を大切にして欲しいんだよ…今はその…兄さんの傍にはテーラがいるからさ…」
その言葉にジーノは納得したように頷く。
『なるほどな…お前って本当に兄貴大好きだよなぁ…まあ、気持ちは分からなくはないぜ?弟以外は基本他人に無関心だった兄貴に可愛い女の子が傍にいるようになったら応援したくなるよなぁ…あいつって性格に難があるけど美形で女の子の目を引く要素がお前以上に揃ってるから…テーラちゃんのプレゼントを選んでいる時だって女の子がチラチラ振り返って……おまけに覗きがバレた時は殺されかけたぞっ!!畜生ぉ…妬ましいぞソウ…ッ』
「ジーノ…覗きに関してはジーノが悪いでしょ…」
嫉妬に震えるジーノにGVは呆れるしかなかった。
そしてデータバンク施設の潜入に成功したGV。
『目標は最深部にあるメインサーバーだ。そこさえ破壊しちまえば、その施設はお終いっつうワケだな』
「了解…探ってみるよ…」
『兄貴がいないからって気合い入れすぎるなよ?』
「………」
先に進んでいくとリニアリフトが見え、GVの行く手を阻む。
「こいつは…リニアリフトか」
『電磁(リニア)ね…ってぇことは雷撃鱗で引き寄せられるってことだな。今回はソウがいなくて良かったかもな。こう言うのを普通にぶっ壊しちまいそうだしな。出力の問題で…GV、ビリビリ中学生の本領発揮だな!』
紅き雷霆の雷撃に耐えきれずにリニアリフトが破壊される光景が浮かんだジーノは納得したように頷くと、GVに雷撃鱗の使用を促す。
「…ビリビリ?…確かに僕は中学生だけど…」
雷撃鱗でリニアリフトを引き寄せて移動すると、GVは気になっていたことを尋ねる。
「そういえば“破壊”って言ってたけど…データは持ち帰らなくてもいいの?」
『皇神のセキュリティはどうせフェザーじゃ突破できねぇからな。壊しちまう方が手っ取り早ぇのさ、GVの蒼き雷霆はそう言うのにお誂え向きのスキルとかあるだろ?』
「なるほどね…」
GVにはライトニングスフィアとヴォルティックチェーンと言う広範囲への攻撃が可能なSPスキルがあるので確かに適任と言えよう。
『破壊ならソウの方が良いんだけどよ、あいつは目立ちやすいからな。』
更に奥に進むと足場が収納され、壁にトゲが張り巡らされた場所に出た。
「ここも雷撃鱗を使えば足場を引き寄せられるみたいだな…」
『トゲには気を付けろよ!ま、カゲロウのおかげでそこら辺は大丈夫だろうけどよ。昔なら即死だったけどな』
「即死…?何のこと?」
『昔はそういうのもあったんだよ』
遠方に見える膨大な数のデータサーバー。
このサーバーには世界中に点在する皇神関連の施設から…能力者の研究データを始めとする様々なデータが集められているらしい。
その中には、GVとソウ、シアンのデータもあるのかもしれない。
…皇神の実験体として造りだされた過去。
その臨床データから、新たな被害者を生むようなことなど…あってはならない。
悲しみの連鎖は…断ち切ってみせるとGVは決意を新たにする。
『…やる気はいいが、あんま気負いすぎんなよ、GV』
「分かっているよ…」
雷撃鱗でリニアリフトを引き寄せながら先に進むと、コンベアが流れている通路を駆ける。
そして奥の部屋に入るとセキュリティシステムが作動して閉じ込められる。
「…閉じ込められたか」
『GV、天井を目指しな。怖らく警報装置(サイレン)があるはずだぜ。そいつを壊せばシャッターのロックが解除されるはずだ』
ジーノの指示通りに天井を目指し、途中の機雷を破壊しながら警報装置に避雷針を撃ち込んで雷撃を流し込んで破壊する。
警報装置が破壊されたことでシャッターのロックは解除され、先に進めるようになり、部屋を出るとゲートモノリスを発見した。
『無事、脱出出来たようだな。ゲートモノリスを破壊して先に進もうぜ!』
ゲートモノリスに避雷針を撃ち込み、雷撃を流し込んで破壊すると先に進む。
すると天井から凄まじい電磁場が出ているエリアに出た。
『おっとGV、天井からもの凄ぇ磁力場が出てるぜ』
「雷撃鱗を使うと…天井に引き寄せられるようだね」
『その仕掛けを利用して先に進めねぇか? マグネットパワー!ってな』
雷撃鱗を展開して、トゲに触れないように先に進むとコンベアが流れている場所に着地する。
『この下もトゲになってるみてぇだな。落ちないよう慎重に行こうぜ』
雷撃鱗を展開して浮上すると、宝石を発見して回収し、トゲ地帯に落ちないように進むと固定砲台のある場所に差し掛かる。
『おっと…こりゃまた厄介な防衛装置だな。」
このリニアリフトも雷撃鱗で引き寄せられるようなので上手く使えば弾を遮断出来そうだ。
雷撃鱗を展開してリニアリフトを引き寄せて弾を遮断するとそのまま進むが、コンベアが流れて複数の砲台が設置されている場所に出る。
『何だこりゃ、まるでパズルだな…パズルタイムの始まりってか?』
「…?」
コンベアに流されながらも雷撃鱗を展開してリニアシフトで弾を遮断して先に進み、壁のトゲに気を付けながら移動する。
『それにしても大層な警備だな』
「皇神はこの国の政界にすら影響を及ぼす大企業。その機密データを保管するこの場所は何としても死守したいんだろうね」
その後もリニアリフトを雷撃鱗で動かしながら先に進み、再び電磁場の出ているエリアに出る。
『しかし…データバンクだっつうのにこんなに電磁場バリバリでいいのかねぇ』
「…?どういう意味?」
『…ああ、お前は分かんねぇか…昔の記録媒体ってのは、磁力に弱かったんだよ。レトロコレクターな俺としては、こんな場所にデータを保存していると思うと…つい、な…』
「ジーノは何歳なのさ…」
『お前ら兄弟の2個上…もぎたてフレッシュな16歳に決まってんだろ?』
「もぎ…?」
『もぐもぐ!』
ジーノの謎の発言に首を傾げるGVだが、取り敢えず先に進んでゲートモノリスを発見した。
『ゲートモノリスだ!とっとと破壊しちまおうぜ』
ゲートモノリスを破壊して先に進むとメインサーバーのある場所に出た。
『メインサーバーのある部屋はその先だ!ひと暴れ頼むぜ!』
先に進むと、そこには大柄な青年が立っていた。
「貴殿が雷霆兄弟の片割れ…ガンヴォルトか」
「お前は…」
「小生は“磁界拳”のカレラ、この施設を託されし守人で候。小生は任務だの正義だの…御託を並べるつもりはござらん…。ただ、強者と名高き貴殿達との戦い…心待ちにしていた…」
カレラは宝剣による変身現象を発動させると戦闘形態となって構えた。
「さあ、参られいっ!!貴殿の雷、我が磁力の拳で捻り潰さんっ!!」
カレラは開幕で磁力を利用した体当たりを仕掛けてきた。
GVはダッシュジャンプで体当たりをかわすと避雷針をカレラに撃ち込んで雷撃を流し込む。
『何だぁ?戦闘狂か…?パンテーラに続いてまた濃いのが出てきたもんだな』
「付き合うつもりはないが…抵抗するというのなら
僕は手加減しない…!」
少しでもダメージを稼ごうと雷撃鱗を展開しながら避雷針を連射してカレラに当てていく。
しかし、殺傷力が低いとは言え、避雷針の連射と雷撃をまともに受けているのにも関わらずにカレラは平然と拳を振るってくる。
「元より手加減無用っ!!本気の貴殿と戦えぬのでは武人として、何の意義もござらん!!“蒼き雷霆”と称された貴殿の第七波動…その本気を小生に見せてみよっ!!」
「お望み通り見せてやる…お前を倒すことで!」
拳をかわしながら距離を取りつつ雷撃を放つ。
無論、EPエネルギーの残量に気を配りながらだ。
「ぬははははっ!気持ちの良い返答、実に良きかなっ!!第七波動のぶつかり合い!!血沸き肉踊るとはこのことでござったか…!こんな気持ち…初めてでござる…全くもってときめくで候っ!!」
…カレラはイカれているのだろうか…?
今まで経験したことのない…悪意の無い、純粋な戦意の塊…目的のない暴力を感じた。
「ぬんっ!!」
「ぐあっ!?」
カレラが肩のアーマーを投げつけてGVを拘束する。
拘束された瞬間にオーバーヒートを起こしてカゲロウが発動不可能となり、カレラの追撃の拳をまともに喰らってしまう。
GVは吹き飛ばされて壁に激突する。
「これこそ小生の磁界拳の力で候!この力を受けた相手はしばらく能力を扱う事は不可能!…そのはずであったので候が…」
雷撃鱗で瓦礫を吹き飛ばし、避雷針を数発撃ち込んで再びカレラに雷撃を当てるGV。
「誠に驚いた!貴殿、磁界拳を受けて即座に立て直せるとは…」
「(これが奴の能力か…能力を無力化するとは何て恐ろしい能力なんだ…チャージングアップが使えなければ本当に反撃もままならないままやられるところだった…)」
「能力者としての生を受けはや18年…貴殿のような強者と出会えようとは天皇神の面接を受けた甲斐があったっ!小生が欲するは、更なる力っ!!力とは、より強き力を乗り越え…屠ることでこそ磨かれるっ!さあ、ガンヴォルト!小生に更なる闘争を!苦境を!勝利を!!力をっ!!!小生に与えよっ!!」
「ただの自己満足に…僕を巻き込むな!お前の求める力には…何の意味も…中身もない!」
「力!!それその物が…小生の存在意義…そして!男子の本懐で候っ!!」
「そうか…虚しい奴め…ならば見せてやる!!僕の全身全霊の力!迸れ!蒼き雷霆よ!!空虚なる拳を打ち砕け!!…響き渡るは謡精の歌声!轟かせるのは龍の嘶き!総身総躯、雷神と化せ!!アンリミテッドヴォルト!!!」
能力強化のサポートスキルのアンリミテッドヴォルトを発動する。
これは発動している数十秒間だけ第七波動関連の攻撃力を倍化させることが出来る。
ソウの紅き雷霆と比べて決定力に欠ける蒼き雷霆の弱点を補うために、シアンを守るために編み出したスキルなのだ。
「ぬうっ!?」
急激に威力が増した雷撃にカレラは動揺する。
しかし動揺したのも束の間、即座に磁界拳で雷撃を打ち消そうとするが、雷撃の威力は最早カレラの磁界拳を以てしても簡単に打ち消すことが出来るような出力と規模ではなく、凄まじい勢いでカレラの体力を削っていく。
「滾る!滾るぞぉっ!!貴殿の力がここまでとは…ならば小生の奥義を受けよ!糾合せし磁力!引力が爆ぜる!全てを望み!全てを欲し!奪い、掲げよ、その豪腕!!超重磁爆星!!!」
部屋の中央にブラックホールを作り出し、ブラックホールはGVを飲み込まんと広がっていく。
離脱しようにもブラックホールとの距離が近いためか離脱出来ない。
「(これがカレラのSPスキル…!!このままではやられる…アンリミテッドヴォルトは後数秒しか保たない…なら一か八かだ!!)迸れ!蒼き雷霆よ!!煌くは雷纏いし聖剣!蒼雷の暴虐よ、敵を貫け!!スパークカリバー!!」
アンリミテッドヴォルトで強化したスパークカリバーをカレラの超重磁爆星のブラックホールにぶつける。
「ぬはははっ!!その思い切りの良さ、実に良きかな!しかしこれで終わりで候!!爆発四散!!」
ブラックホールが爆発を起こし、スパークカリバーを相殺したと思われたが。
「うおおおおっ!!」
GVはオーバーヒートを起こしながらもカレラに接近し、手にスパークカリバーをいくらか小さくしたような剣を構えていた。
超重磁爆星によってスパークカリバーを構成する第七波動はかなり拡散してしまったが、まだ形は残っており、それをGVはスパークカリバーを構成する第七波動を操ってスパークカリバーを小型化することで武器として使えるようにしたのだ。
そしてGVは手に持ったスパークカリバーでカレラを貫く。
「ぐは…っ!?まさか、小生の奥義を破るとは…見事…!!満足だ…っ!!」
貫かれたカレラの体が膨張し、爆発すると残った宝剣に亀裂が入って転送された。
「ふう…ヒーリングヴォルト」
オーバーヒートから回復したGVは生体電流を活性化させ、体を回復するサポートスキルを発動すると一息吐いた。
「…後はこの部屋のデータを…うん?(どうやら今の戦闘で、この部屋に保存されていたデータは破壊されたようだ…)破壊する手間が省けたな…」
『お?なら、後は脱出するだけだな!』
GVは皇神兵が来る前に施設を後にしてミッションを完了させたのであった。
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