オズのキャプテン船長
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第四幕その九
彼等からです、こう言ってきました。
「やあ、暫く」
「はじめて会った子達もいるね」
「噂に聞くオズの名誉市民の子達だね」
「外の世界から来たっていう」
「その子達だね」
「そうだよ」
船長がトドとセイウチ達に答えます。
「この子達がね」
「宜しくね」
トドとセイウチ達は恵梨香達五人に挨拶しました。
「これから」
「ええ、こちらこそ」
恵梨香達五人で挨拶を返しました。
「宜しくね」
「いや、噂に聞いていたよりもね」
セイウチ達の中からとりわけ立派な牙を生やしたセイウチが言ってきました。
「美男美女だね」
「それはお世辞よね」
「いやいや、五人共整ってるよ」
そうした外見だというのです。
「本当にね」
「そうかしら」
「僕は嘘を言わないから」
それでこう言うというのです。
「本当にね」
「この場合美男美女じゃないよ」
トドのうちから一番大きなトドが出て来て言ってきました。
「五人共子供じゃないか」
「あっ、そうだね」
セイウチも言われて気付きました。
「じゃあこの場合は美男美女じゃないね」
「美少年と美少女だよ」
「そうなるね」
「そう言われたら」
五人共セイウチとトドの会話に真っ赤なお顔になりました、それで恵梨香も彼等に対して言うのでした。
「ちょっと」
「あっ、恥ずかしい?」
「ひょっとして」
「かなりね」
こう言うのでした。
「だから言わないでね」
「ううん、それじゃあね」
「こうしたことは言わないよ」
セイウチやトド達も納得しました、そうしてあらためて五人に言うのでした。
「やっとこの島に来てくれたね」
「オズの国のあちこちを冒険しているとは聞いていたけれど」
「この島に何時来るかってね」
「待っていたんだよ」
「そうだったのね」
恵梨香はそのお話を聞いて意外といったお顔になりました。
「私達がこの島に来るのを待っていてくれたのね」
「うん、そうだよ」
「本当に待っていたんだよ」
「一体どんな子達かとも思ってね」
「楽しみにしていたんだ、君達が来るのを」
こう五人に言うのでした。
「そして来てくれてね」
「会ってお話出来て嬉しいよ」
「船長さん達も一緒だしね」
「皆元気だしね」
「元気なのは変わらないわよ」
ビリーナが胸を張って答えました。
「私達はもうずっとよ」
「うん、元気だよね」
「オズの国の住人だからね」
「それで元気だね」
「そうだね」
「そうよ、この通りね」
やっぱり胸を張ったままで言うビリーナでした。
「私も皆も元気よ、そしてあんた達もよね」
「この通り元気だよ」
「見ての通りね」
「そうよね、しかしあんた達相変わらずね」
ビリーナは今度はこんなことを言いました。
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