星河の覇皇
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第七十二部第一章 マウリアの人口統計その十四
そしてこの話を聞いてだ、クリシュナータは言った。
「わかってはいた」
「はい、そうですね」
「こうした話の流れは」
「決定してからも為されるのは」
「主席も折込済みですね」
「深刻な話だ」
マウリアにとってはというのだ。
「だからだ」
「決定してもですね」
「躊躇は残る」
「それが出ている」
「そういうことですね」
「その通りだ、しかしだ」
それでもというのだった。
「このことはわかっているからだ」
「だからですね」
「もういいですね」
「政治としては決まった」
「決断が出たので」
「もうそれで、ですね」
「いいですね」
「どうしても嫌ならばだ」
その場合はとだ、クリシュナータはさらに言った。
「議論として出せばいい」
「再びですね」
「そうすればいいだけですね」
「民主主義は選びなおすことが出来る」
「そうしたシステムでもあるからですね」
「そうだ、マウリアもまた民主主義だ」
カースト制度が存在してもとだ、クリシュナータは側近達に話した。
「連合やエウロパと同じくな」
「そうです、民主主義ならです」
「間違った選択を選びなおすことが出来ます」
「二十一世紀のイギリスのEU離脱もそうでした」
ここでこの事例が挙げられた、当時の首相が離脱を国民投票で決定するとした途端に彼の政敵であるテレビでの人気者だった輩が離脱を主張し投票は僅かに離脱派が勝ったのだ。この輩はその後自身への反発が酷く首相選への立候補を断念し馬脚を表した。若し国益を彼なりに考えていれば首相選に信念を以て出ていたからだ。愚かな輩はテレビの人気者には容易に騙されるということの歴史的証左でもある。
「再び入ることが出来ました」
「かつての首都の市長の私利私欲に踊らされましたが」
「再びです」
「復帰しましたね」
「時を経て」
「そもそもテレビを信じないことだ」
クリシュナータはここから言った。
「そこでの人気取りはコツを掴めばだ」
「出来ますね」
「それも容易に」
「そしてそこからですね」
「のし上がることが出来ますね」
日本でもよくあった、庶民派を気取っていたニュースキャスターが実は偏向しており長年報道被害を垂れ流してきたうえで年五億の収入を得ていた。
「政治家になればです」
「その人気で思いのままですね」
「そうしたことは普通に起きるものですね」
「それこそどの国でも」
「テレビを観ると知能が低くなると言うが」
クリシュナータはこうも言った。
「民主主義の歴史を観るとな」
「その通りですね」
「テレビに踊らされた市民の選択ミスは多いです」
「そのイギリスの件といい」
「マスメディアが強い国では」
「マスコミは中立ではない」
それを謳っていてもだ。
「必ず己の思想だの思惑だのを入れる」
「サブリミナルめいたことをした事例もありますし」
「実際にですね」
「そうしたことをした輩もいましたし」
「それならばですね」
「マスコミは信用するな」
「己が考えるべきですね」
マスコミの意見を鵜呑みにせずにだ、間違っても新聞やテレビが嘘を言わないと思ってはいけないのだ。
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