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オズのキャプテン船長

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第三幕その十

「ヨルムンガルドの内側、オズの国は」
「運命の人でないと来られないの」
「選ばれてとかじゃないけれどね」
「そうした運命でないとなのね」
「来られないんだよ」
「だから私達は来られたのよ」
 トロット達が笑顔でお話します。
「そして貴方達もね」
「そういうことなんですね」
「だってここはお伽の国よ」
「何もかもが不思議な国だから」
「だからね」
「それで、ですね」
「運命でないと」
 絶対にというのです。
「来られないの」
「そうなんですね」
「だからね」
「私達も運命で来て」
「今こうして楽しんでいるのよ、ただ」
 ここでこうも言ったトロットでした。
「それは特別な運命じゃないのよ」
「オズの国に来られる運命でもですか」
「他の不思議の国に行く子もいるでしょ」
「ネバーランドや不思議の国に」
「そうした子達もいるから」
「それぞれの運命は運命で」
「特別ではないのよ」
 あくまでそれぞれでというのです。
「そこはわかっておいてね、そして運命は変わるから」
「それもまた運命ですか」
「悪い運命だとしても」
 船長も言います。
「それをいい運命に変えることも出来るんだよ」
「悪いものをいいものに」
「そうも出来るから」
 それでというのです。
「運命を悲観しないことも大事だよ」
「悪いと思ったらですね」
「いい運命にね」
「変えることですね」
「そうした努力も大事だから」
「そうですか、悪いものは」
「それは運命でもね」
 確かに重要なものです、ですがその重要なものもというのです。
「変えられるから」
「変えるといいんですね」
「そうだよ、いいね」
「はい、わかりました」
「そう、僕もね」
 白鯨がまた言ってきました。
「実はオズマ姫に言われたことがあるんだ」
「どう言われたの?」
「奥歯が痛いってこの海で出会ってね」
 そしてというのです。
「お話したら」
「その時になの」
「虫歯だって言われて」
「虫歯だったの」
「うん、僕達海の生きものもね」
「虫歯になって」
「それだって言われて放っておいたら」 
 その虫歯をです。 
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