サマードッグ
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第一章
サマードッグ
暑い、こんな時は部活や塾の講習がない限り家のクーラーの効いた部屋の中でいるに限る。このことは朝でも同じだった。けれど。
僕は朝早くにお母さんにこう言われた。
「ご飯食べたらすぐにドンの散歩に行ってきて」
「食べてすぐに?」
「そう、あんた部活ちょっと後でしょ」
「それはね」
「だったら言ってきてね」
こうしてだった、僕は夏の暑い朝でもそんな中にうちの犬の散歩に出た。犬のドンは散歩に行こうかと言うと尻尾をぱたぱたと振って目を輝かせた。そうしてリードを付けるとむしろ自分の方が喜び勇んで家を出た。
僕はこの大きいけれど大人しいコリーと一緒に朝の散歩をはじめた、散歩自体は何もなくて穏やかなものだった。時々近所の人と会って挨拶をする位だ。けれど。
ふと上を見上げるとお空が青い、見事な空の青それに雲の白を見せてくれているそれはまさに夏空だった。
朝早くからもう夏空なんて、僕がそう思っていても隣の愛犬は上機嫌で歩いて時々用足しをして僕をそこから引き離してくれた。それがまた妙にいい気分転換になったし犬が機嫌よく歩いているのを見ているとあまり乗り気で出た散歩じゃなかったけれど悪い思いはしなかった。
空も同じだった、それは確かに夏の空で暑さを連想させるものだったけれど青と白のコントラストが実によかった。青の色合いも雲の形も絵になっていて美術の時間に吹奏楽部にいながらもこんな青空を描けたらいいなとかも思った。このことから夏休みの美術の宿題は青空を書いてしまおうかとも思った。
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