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ある晴れた日に

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707部分:冬の嵐は過ぎ去りその七


冬の嵐は過ぎ去りその七

「本当にね」
「一瞬にかけるか」
「あんたもよ」 
 明日夢は彼にも言ってきたのだった。
「落ち着けばいいから」
「俺もか」
「そう、落ち着けばいいから」
 彼に言う言葉も同じだった。
「そうすればきっとね」
「上手くいくか」
「何かあっても皆いるから」
 一人ではないというのだ。
「皆がいるから」
「だったら」
「背中は任せて」
 あえてこう言ったのである。
「わかったわね」
「その言葉受けさせてもらう」
 正道もまたエレベーターを見ていた。それと共にもう携帯を出してきていた。
 エレベーターは九階になった。そして。
 十階になった。全員それと共に立ち上がる。それから暫くだった。 
 だがその暫くがである。永遠に感じられた。その時間の長さに皆喉を鳴らした。しかしそれでも明日夢の言葉があり冷静さはあった。
 遂にだった。携帯が揺れ動いた。
「来たね」
「遂に」
「音橋」
 咲が鋭い目で彼を見てきた。いつもの適当さは何処にもなかった。
「向こうに連絡して」
「わかった」
 一瞬だった。向こうにいる一人、野本に連絡した。それで終わりだった。
 携帯を収めるとすぐだった。下に向かった。
 素早く駆け下りる。すると凄まじいあの妖気を発する後姿の前にだ。青島と小泉が立っていた。そしてそのうえで職務質問をしていた。
「少しいいでしょうか」
「今ですね」
「はい?」
 吉見の声だった。間違いなかった。
「このマンションに空き巣が入ったという通報がありまして」
「それでなのですが」
「空き巣ですか」
 注意は二人に向いている。その間にであった。
 正道達は素早くその後ろに駆け寄った。そして。
「未晴!」
「そこだったのね!」
 咲と凛が叫ぶ。
 そして桐生はすぐに部屋の扉の前に向かう。加山は彼の後ろに迫る。
 そのうえで何時でも捕まえられるようにした。だが。
 その妖気を感じて怯みそうになる。だがそれでもついたのだった。
 そしてであった。正道はスライでィングの様に桐生の前に出てだ。すぐに未晴の車椅子を確保した。そこには確かに彼女がいた。
「えっ!?」
「これでいい」
 正道は彼女の車椅子を持って言うのだった。両手でその後ろを押している。
 そのまま青島と小泉の後ろについた。これで安全だった。
「待ってくれないかな」
 その彼等にだ。吉見は悠然として言ってきた。
「この娘は僕の親戚の娘なんだけれど」
「馬鹿、言えおい!」
「病院からさらってきたんじゃないの!」
 青島の後ろにもう別働隊が来ていた。彼等は未晴と正道を囲んで言うのだった。
「そんなこと言ってもな!」
「何を言ってるのかな」
 しかし吉見はこの状況でもへらへらとしている。嘘を平気でついていた。
「僕は彼女の親戚なんだよ」
「親戚!?」
「何処に証拠があるんだよ」
 皆その彼を睨み付けて問い返した。
「そんなことな」
「何処にもないでしょ」
「それよりもだよ」
 嘘を見破られようとしても全く平気だった。次のことを言ってきたのである。
 
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